Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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ふれあい毎日(毎日新聞)

若年者の子宮ガンが増えている
2006年01月12日

これは平成17年9月掲載文です


         若年者の子宮ガンが増えている?
                   山口県立総合医療センター
                      院長 江 里 健 輔


本年6月25日、防府アスピラートで「女性のガンシンポジウム」が県民約300人の参加を得て開催されました。このシンポジウムは山口県健康福祉部が主催し、「検診受診率を高めて、ガン死亡を減少しましよう」という「健康日本21」キャンペーンの一貫です。この会で、私は「乳ガン検診の意義と今日の乳ガン治療」、徳山中央総合病院産婦人科部長伊東武久先生は「子宮ガン検診・定期検診の重要性を考える」と題し、それぞれ講演致しました。その中で伊東先生による「子宮頸ガン発生原因はパピロビールスによる性感染症で、若年者の子宮頸ガンがこの最近どんどん増えている。この発生率を下げるには性感染を予防することが第一である」という内容は聴衆者に大変なショックを与えました。
都道府県別主な疾病死亡率(人口10万対)で、山口県は全ガンで3位、乳ガン2位、子宮ガン9位と残念なことですが、日本でもトップレベルです(生活習慣予防研究会編:生活習慣病のしおり、2004)。一方、ガンを早期発見するための一次検診受診者率は乳ガンは山口県12.5%, 防府市14.2%(県内の市町村で最も高い検診受診率は62.6%で玖珂町),子宮ガンはそれぞれ15.1%, 14.8%(最高検診率は65.8%で玖珂町)と極めて低い検診受診率であります(山口県健康福祉部高齢保険福祉課:平成13年、山口県の生活習慣病のしおり、2004)。高齢化社会を迎えて、医療費は年々高騰し、2004年概算医療費は31兆4千億円に達し、その中でも70才以上は12兆8千億円と前年に比べて3.8%と上昇してきていますので、政府は医療費削減にいろいろな対策を講じています。その一つが検診受診率を高めることです。どのような病気であれ、早期での治療費は進行期より少なく、かつ、治療成績も良好です。したがって、医療費の削減はともかく、ガンで死なないためには原因の除去に努め、定期検診を受けることです。

第24回日本思春期学会における谷畑氏の報告によれば全国8地域に調査モデル県を設定し、性感染症発生率を調査しています。対象疾患は軟性下疳、梅毒、性器ヘルペス、性器クラミジア感染症などでありました。その結果、罹患率は男性では25才前後(約1400/10万人/年)、女性では20才前後(約2300/10万人/年)でもっと高く、種類別では、性器クラミジア感染症でした。特徴的なことは女性では14才以降に性感染症が急増していることです。
婦人科医は「若年者に性行為をするなと教えるのではなく、避妊せよと教育すべきだ」とアドバイスしています。現在のように情報化時代では性について蓋をすることは出来ません。若者達が性について自然に知識を得ることも大切ですが、間違った知識が入らないとも限りません。羽田氏は避妊に関する知識を学校、あるいは家庭でしっかり教育し、非常時に対応出来る医療施設と連携を深めておくことが大切で、さもないと、ガンは高齢者という常識をくつがえ覆し、子宮ガンが若者に増えることになるでしょうと忠告しています。
このシンポジウムの終わりに会場の参加者から
「乳ガンに検診、子宮ガンにコンドーム」
という標語が掲げられ、万雷の拍手が沸き上がりました。



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