Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
その他

勤務医が少なくなるのは当然
2006年01月14日

        勤務医が少なくなるのは当然
              山口県立総合医療センター
                       院長 江 里 健 輔


病院から麻酔科医がいなくなり、グループ開業している麻酔科医にその度ごとに麻酔を依頼したり、外科医が麻酔をしている話しをしばしば耳にするようになった。麻酔科に限らず、勤務医がどんどん開業し、病院経営が息詰まっている病院が増えてきている。とくに公的病院にその傾向が著しいように思える。国民医療費構成割合は平成12年では病院53.6%,診療所25.6%(鈴木 厚レポートより)で、高額医療費のほとんどは診療所でなく、病院で費やされている。このことは生命にかかわる重症疾患の診断・治療は病院で為されていることを意味し、重症患者に対応すれば、するほど、肉体的、精神的消耗は益々高まってくる。その上、他の医療人に比べ低い収入、頻回な宿・当直、膨大な書類、「稼げ、稼げ」と追いまくられるなど、何処をみても恵まれた条件はない。定年まで勤務医でありたいとする医師は20%にすぎないと日医ニュースは報告している(平成17年1月20日号)これまでは高度な手術、あるいは、チャレンジアブルな治療が出来るなど、医療面での満足感はあったが、これも最近は難しくなってきた。その原因が患者からの不穏当なクレームである。「父親が死んだのに、線香もあげてくれなかった」、「廊下で会っても、頭もさげない」などなど。最後は「出るところに出てやる」。その言葉で不安におののき、ひたすら低頭して「申しわけございません」の連発。マスコミは両者の話を聞かず、患者は弱者、強者は医師という前提で、その根拠や理由を聞かないで、患者という立場だけでポジテイブに評価する。医療側が主張をいくら論理的にしてもネガテイブとしか受け取ってくれない。これは医療人が悪いという何か暗黙の了解のようなものがこの国を支配しているからであろう。このような状態で患者のための医療が保障されるであろうか?医療の評価は第三者機関で為される必要があるが、患者さんのクレーム、マスコミ報道などもチェックする機関があっても良いと思うのだが・・・


炉辺閑話



[ もどる ] [ HOME ]