Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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ふれあい毎日(毎日新聞)

健康を保つー生活習慣病の改善ー(2006,3,5) NEW
2006年03月18日

        健康を保つー生活習慣病の改善ー
           ー生活習慣の改善ー
                  山口県立総合医療センター
                         院長江里 健輔



私の友人に好きなだけ、酒を飲み、たばこを吸い、牛肉を食べ、「俺が医者にかかる時は死ぬ時だ、節制して長く生きてもしょうがない」と医師のくせに医師らしくない言葉を豪語していた人がいます。その彼が最近視力が衰え、歩行も出来ず、家に引きこもってばかりで、死ぬにしねないと嘆いているという知らせが入ってきました。不謹慎な言いかたですが、辛いことはこの「死ぬに死ねない」ことです。
私のコラムも今回が終了ですので、これまでいいつづけてきたことを改めて強調したいと思います。
昭和20年代までは結核が国民病と言われ、死因の第一位でした。昭和30年に入り、結核に代わり、脳卒中、心臓病、悪性腫瘍が三大死因となりました。それで、政府は「成人病」という用語をつくり、その対策にのりだしました。日本は世界一長寿国ですが、延びた最大の原因は乳幼児死亡が減少したことであり、60歳あるいは70歳代の平均余命が延びたわけではありません。問題なのは不健康ながら長寿であることで、本人の辛さは当然ですが、ケアにかかる経費が年々増加し、日本の経済に大きく影響してきたことです。そこで、政府は平成8年「生活習慣病」の概念を提言し、その発生予防に力を注いできています。病気の発生要因は体に悪いとされている喫煙、飲酒、運動不足などのような日常生活の「不健康度」が50%,病原体、アスベストのような有害物質などの外部環境20%,遺伝要因20%、治療医学の不適切さ10%とされています。生活習慣についてはブレスローたちが1965年に行った有名な研究があります。彼らはカルフォルニヤのアラメダで、7000人を対象に表に示すような生活習慣の健康に及ぼす影響を検討しています。7つの項目のうち2つ以下、3つ、4から5つ実行している人の総死亡率は男性ではそれぞれ16%、11%、6%、女性では12%、7%,  4%であったと報告しています。(ベルクマン&ブレスロー:オックスフォード出版、1983)。ブレスローの7項目をたくさん実行すればするほど長生きできるということです。
このようなデータを目にしますと、前号でも述べましたように「自分の体は自分で守らなくてはならない」と思われるでしょう。これからの医学の流れは治療医学から予防医学への転換です。その中で最も大切なことは健診を受けることです。病いが相当進行して受診される患者さんがおられますが、この様な患者さんの多くは「ガンと診断されるのが怖かったので、ついつい先延ばしとなりました。もっと早く来れば良かった」と涙ながらに悔やまれますが、返す言葉がありません。このことは「ガン」と診断されることは「死」を宣告されたと同じだと認識されるからだと思います。脳卒中、心筋梗塞、ガンなど早期であれば、これらの病気は早期ならば死を避けることも不可能ではありません。特に、胃ガン、乳ガン、肺ガン、大腸ガン、子宮ガン、前立腺ガンなどを早期に治療した成績は極めて良好です。「ガン」イコール「死」という方程式は成り立たず、さっさと捨て去るべきです。
私たちが「生」を受けている間、その喜びの生活を楽しむためには
一つは禁煙
2つは小食、小酒
3つはたくさん動き、休み、多くの人たちと会う
を実行することです。自分がその気持ちをいつも持ち続ければ、誰もが実行出来る事柄です。
心配なことがありましたら、私のメール
kesato-h@c-able.ne.jpにコネクトして下さい。直ちに、返事をさしあげます。
1年間ありがとうございました。





















(表)ブレスローらによる
健康習慣に1点を与える回答
1:7〜8時間の睡眠
2:朝食をほとんど毎日とる
3:間食はとらない、とっても1回以下
4:アルコールは一度に4杯以下
5:喫煙しない
6:運動を頻繁に行う
7:男性=標準体重の-5%以上,+20%未満
女性=標準体重の-5%以上,+10%未満



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