Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

アレン・カーの死亡 NEW
2006年12月23日

アレン・カーの死亡
     山口県立大学理事長(学長)
             江里 健輔


年末まで「死亡」の話など縁起でもないですが、“来年こそは”と禁煙を誓われる方々へのメッセージです。
アレン・カーは“やさしい禁煙メソッド、Easyway to stop smoking”を開発した人です。その彼が昨年11月29日、肺ガンのためスペイン南部マラガ付近の自宅で死亡、72歳でした。彼はロンドン出身で、1日に100本以上も吸っていたヘビースモーカーの会計士で、33年間ありとあらゆる禁煙方法を試みましたが、成功しませんでした。そこで、彼が「強い意志による禁煙」に疑問を感じ、83年に彼独自の方法で禁煙に成功しました。この経験をもとに世界30カ國以上に、70を上回る禁煙クニニックを開設し、一方では自らの体験をつづった「禁煙セラピー」を発行し、これがベストセラーとなり、2500万人以上を禁煙に導いたとされている有名な禁煙運動活動家です。禁煙運動家が肺ガンで死亡するとは皮肉な話ですが、肺ガン危険因子であるブリックマン指数(1日のタバコ本数×吸っていた年数)が400以上になると、ガンになる危険性が極めて高くなりますので、彼が肺ガンに罹っても不思議ではありません。禁煙した時期が遅すぎたのですが、彼が心筋梗塞や狭心症のような循環器疾患で死亡しなかったのは禁煙のお陰でしょう。
禁煙セラピーの流れは心理療法、最後の1本の儀式、催眠療法を約5時間かけて行う治療法です「禁煙セラピーR(アレン・カー著/阪本章子訳/KKロングセラーズ刊)。このセラピーの特徴はタバコを吸いながらやめられる、1回のセラピーで効果がある、しかも、「自分は止めにくい」と思っている人ほど効果があると銘打っています。
興味ある方々は試みられては如何ですか?
私は20歳ごろから喫煙し、48歳でやめましたので、私のブリックマン指数は560ですので、肺ガン危険因子を抱えていることになり、何時、肺ガンに罹っても不思議ではありません。38歳ごろより禁煙しようと何度も、何度も挑戦致しましたが、失敗の連続でした。それが禁煙出来たのはちょっとしたきっかけでした。
ある人が「タバコを吸いたいと思うのはホンのチョットの瞬間です。その瞬間を我慢すれば、その内、禁煙出来るようになりますよ」と話してくれたことです。
毎日、睡眠前に「ようーし、明日からタバコを止めるぞ!!」と覚悟します。しかし、朝になると、もう一人の自分が出て「タバコを吸っても、体が今悪いわけじゃないし、そんなに我慢するのも体に悪いので、吸ったらどう」
とはやし立てます。
「うん、そうだな、体が悪いわけじゃないから、いいか」
と何時の間にか右手にタバコを挟んでいました。この葛藤はほんの3〜4秒です。この葛藤を乗り切ると、10分後にまた、別の人間が「どうだ、吸ったらどう」と出てきます。この戦いの繰り返しで、だんだん、もう一人の自分が出てくる間合いが長くなり、ついに、出なくなります。禁煙を決心しても、実行出来ないのはタバコを吸いたい心と吸ってはいけい心の葛藤です。最初は前者が勝っていても、3秒間ぐらい我慢すれば、次第に後者が強い力を持ち、最終的には喫煙出来るようになります。
どうしても止められない方々はタバコが原因で生ずる心筋梗塞、脳溢血など病気の悲惨さ、恐ろしさをしっかりと認識することですネ。



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