Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

「改革しなさい」といわれました NEW
2007年02月01日

「改革しなさい」と言われました
       山口県立大学理事長(学長)
              江里 健輔
平成18年11月15〜17日かけて中国青島大学を訪問しました。山口県立大学と青島大学との間で交流協定を平成17年11月10日に締結し、昨年は中国からの訪問を受けたので、今回は我々が訪問することになったのです。記念講演会、中国学生の日本語スピーチコンテストなど盛り沢山の行事で、中国の元気を頂き、帰国しました。現在の青島大学は学生数32000人、教員2200人、その内教授が270人と山口県立大学と比較しても比べようもないほど大きい大学です。
私は医師でありますので、時間の合間を見て、青島大学付属病院を見学致しました。副院長が院内を案内してくれましたが、私の想像を絶するものがあり、驚くと同時に我々日本の医療人が哀れに見えました。その第一は副院長の言葉でした。
「日本ではいくら手術しても、どんなに頑張っても給料が上がらないようですが、本当ですか?まだ、そのままの状態ですか?」
この副院長は10年前、某大学医学部附属病院に4年間留学していましたので、日本語に不自由はありませんし、日本の医療事情には相当詳しい筈です。その彼が日本の医療状況を小馬鹿にしたように言うものですから、一瞬、むっとなりました。そこで、おもむろに
「中国は医師の給料は一般人と比べて低いそうじゃないですか?日本の医師給料は一般人より医療職手当が付きますので、若干良いですよ」
彼はいきなり
「確かに、医師の給与は一般人と比較して高くありません。これは中国の政治形態ですのでやむを得ません。しかし、どんどん働けば働くほど、手術を沢山すればするほど給与は上がります。それだけ頑張りがいがあります。日本の医療環境がこのまま続けば、早晩、中国が日本を追い越すでしょうね。日本はもっと医療改革を本気しなければ駄目ですよ」
にこっと笑っていました。附属病院の施設、医療器具も日本と変わりません(どれだけ使用されているかどうかは判りません)。その上、内視鏡による手術練習室もあり、直接収入に関与しない領域にも心血を注いでいることが判りました。共産主義社会の國ですから、見せる場所を限定しているのでしょうが、副院長の言葉にはまったく反抗できませんでした。
これまでも数回、中国を訪問し、その度に「中国はもっと改革しなければ」というのがこれまでの思いでした。
今回は逆の立場になりました。
今、日本の公的病院は危機に陥っています。本年3月には山口県立総合医療センターの優秀な医師数人が辞められると聞き及んでいます。
昨年から数えても相当数の方々が辞められました。理由はいろいろあり、はっきり明言されませんのでわかりませんが、云えることは、頑張れば頑張るほど、収入が増える、いわゆる割高制でないことと医師として満足できる医療が出来ないからです。いくら優秀な医師でも人をトータルに治療出来る施設でなければ救急医療、高度医療は出来ません。辞められた先生が折角獲得した技術を発揮出来ないのは残念な筈ですが、それ以上に勤務医であることの不満足があるのです。
早急に政策上の手だてをしない限り、本来の病院の機能を失うことになりかねません。
青島大学医学部付属病院訪問でいらいらした気分で帰国することになりました。


































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