Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

チョコレートが心臓を守る NEW
2007年03月02日

チョコレートが心臓を守る
      山口県立大学理事長(学長)
               江里 健輔


バレンタインで沢山のチョコレートが贈られ、処置に困っている方々、全く、贈って来ないために一人嘆いている方々、義理チョコの数が職場で女性から評価されているようで少し緊張されませんか?
ところで、チョコレートが心臓を守るというチョコレートフアンにとってこの上ない楽しい記事をお知らせしましょう。
医療情報誌であるメデイカル・トリビューン(2007,2,15)によれば、ジョンズホプキンス大学内科と同大学ブルームバーグ公衆衛生学部のDiane Becker教授らはチョコレートの中に含まれるカカオ豆の成分が血小板凝集を抑制するので、心臓を保護すると発表しました。
動物性蛋白の取りすぎ、少ない運動量などが原因で発生する生活習慣病が問題になっていますが、その中で、心筋梗塞や狭心症などは心臓を養っている冠動脈が硬くなり(所謂動脈硬化症)、そのために、血管の内腔がだんだん狭くなり、最後には完全に閉塞するために、酸素を運ぶ血液が流れず、心臓の機能が弱まってしまう致死的な病気です。内腔が狭くなった時、血液の粘着が強いと血液同志が固まって(凝集と言います)、それが血管の閉塞を促進しますので、これを予防するには、血液をさらさらにする、即ち、血液を固まり難く(凝集抑制)しなければなりません。彼らの細いプラスチックチューブ内で、血液凝集に要する時間を測定した実験によれば、チューブを閉塞させるのに要した時間はチョコレートを摂取した群では130秒であったのに対し、チョコレートを摂取しない非摂取群では123秒で前者に血小板活性の抑制が証明されています。しかし、だからと言って、沢山のチョコレートを摂取するのが良いと主張しているわけではありません。この研究者達は1日にテーブルスプーン(大さじ)2杯のダークチョコレート(あぶったカカオ豆の乾燥抽出物で純良な形のチョコレート)の摂取を勧めています。
日本人には納豆の捏造報道に見られるように、マスメデアが根拠もなく、ある食品が健康に良いと報道すると、わんさと押しかけてその食品を購入・摂取する「体制流行症候群」傾向がありますが、あくまでもバランスであります。確かに、この実験で見られるようにチョコレートを食べる食習慣が心筋梗塞や狭心症発生を低下させますが、これのみで、これらの疾患が予防されるわけではありません。運動など健康的な生活習慣を図ることが条件であります。
欧米では動脈硬化症で下肢の血管が閉塞し、だんだん、色が変わり腐っていくような病気を持っている患者には禁煙しない限り、治療しません。タバコが血液粘着を増強することが証明されているからです。いくら、血液をさらさらにする薬を与えても、一方では血液の粘着を強める生活をしていては治療する意味がないからです。日本にはこれほど徹底して患者さんを治療する医師はいませんが、本当に患者さんのためを思うならば、このような態度が必要でしょう。
ともかく、毎日、チョコレートを少しかじるとか、1杯のホットココアを飲むのは体に良いのでしょうね




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