Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

ホウ・レン・ソウ NEW
2007年05月16日

ホウレンソウ(報・連・相)
        山口県立大学理事長(学長)
               江里 健輔

いろいろな事が複雑化し、迅速に対応が求められる現在、ちょっとした手抜かりで誤解を受けられた人が多いと思います。そのほとんどが「ホウレンソウ」と揶揄されている「報告、連絡、相談」の欠如からです。
「私に相談がなかった。無視された」
などと誤解され、それ以来、関係がギクシャクした経験をお持ちの方は多いでしょう。我々のような医療人は刻々と変化する患者さんの病状を詳細に患者本人、あるいは家族に説明しなければなりませんし、上司にも報告し、適切なアドバイスを受ける必要がありますので、とくに、重要視しています。
今の社会では「ホウレンソウ」が円滑であると思われますか?
ある会合で、上司が
「業務の進展状況はなんでもきめ細かく報告・連絡・相談するよう心がけてくれ」
とお願いしたところ
「何でもと言われますと全てという意味でしょうか?」
と下の人が質問しました。その上司は烈火のごとく
「『何でも』ということは全てという意味じゃないんだ。『報告・連絡・相談』すべき事項かどうかを適切に判断するのが能力で、「『何でも』報告するのなら、小学校の子供でも出来ることなんだ」
と、顔に青筋を立てて怒ったという話があります。
私は人物評価の一つに『報告・連絡・相談』が適切に出来るかどうかを参考にしています。

『報告・連絡・相談』の目的は業務の問題点や結果を知らせることで、その方向性が正しいかどうかが組織として確認でき、また、意見交換をすることが出来る、情報が組織全体に共有されるので、自分勝手な行動を取ることが出来にくくなり、業務を円滑に遂行できるなどの長所があります。優れた能力のある人は報告内容が適切で、要領よく報告しますし、緊急性に応じて口頭で、書面で、時には資料を添えてくれます。
私も若い時には随分上司に失礼なことをし、『報告・連絡・相談』が充分な人物ではなかったようで、思い出すたびに赤面しています。しかし、残念ながら『報告・連絡・相談』をするようにと厳しく教育された記憶もあまりありませんでした。それだけに、この年令になった今こそしっかりと教えておくべきだと反省し、事あるたびにその必要性を話しています。
いろいろな連絡をすると、即座に連絡される人や全く連絡のない人など対応は様々です。一般的に教養のある、人を教える立場と称される方々に『報告・連絡・相談』が乏しいように思います。理由はよく判りませんが、若い時から「先生」、「先生」と呼ばれ、忠告をうけるチャンスが少ないからかもしれません。
『報告・連絡・相談』は組織として仕事するには一般の常識的、かつ、不可欠な事です。これが欠如するようでどうして人を教えることが出来るのだろうかと頭を傾げたくなります。
勿論、『報告・連絡・相談』は「する人」と「受ける立場の人」の両者の関係で成り立つものですから、「受ける立場」の私にも問題があるのかもしれません。
いずれにしましても、ホウレンソウである『報告・連絡・相談』は人間関係を円滑にする第一歩です。この欠如が原因で人間関係が崩れることを社会の一員としてお互い自覚したいものです。




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