Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

血圧を下げたい人へ
2007年08月03日

           血圧を下げたい人のために
                   山口県立大学理事長(学長)
                          江里 健輔

血圧を測ってもらい、
「収縮期圧が高いですね、180mmHgと普通の人より40mmHgも高いです。150mmHg以下にしなければ、何時なにが起こるかわかりません。早速、血圧を下げる薬を処方しますので、規則正しく飲んで下さい」
と医師に言われた時、
「ちょっと待って下さい。自分で血圧をさげる努力をしてみます。それで、さがらなかったら、薬をお願いします」
このように発言出来る勇気のある人はおられるでしょうか?ほとんどの人が
「それではお願いします」
と言われるでしょう。血圧の高いことが判れば、医師は責任上なんらかの処置をしなければなりません。しかし、患者さんの申し出であれば、後日責任を追求されることはなくなりますので、処方しません。従って、自分の気持ちを医師に告げる勇気がなければ、この時から、貴方は生涯、血圧を下げる薬を飲み続けなければならなくなり、一種の降圧剤依存者になります。
これは間違っています。初めて高血圧と言われたら、まず、自分で血圧を下げるよう生活習慣を変えるべきです。おおよそ3ヶ月間努力してみて、血圧が下がらなかったら、薬を処方して貰いましょう。これまで血圧が高い状態で生活してきたのですから、3ヶ月間ぐらい薬を飲まないからといって、急変する筈もありません。
この努力にはいろいろな方法あります。一番いいことは運動です。このことは既にあらゆるところでお聞きでしょうから、ここでは最新の研究報告を紹介しましょう。
タウバートは有名な医学雑誌であるJAMA(2007,298:40〜60)にポリフェノールを豊富に含むダークチョコレートを毎日、少量食べると血圧が有意に下がることを証明しました。治療していない高血圧患者44人を
30mgのポリフェンノールを含むダークチョコレート6.3mg(30kcal)およびホワイトチョクレートをそれぞれ毎日食べた2群に分け、18週後の血圧の変化を調べました。その結果、ダークチョコレートを食べた群の血圧は食べる前の時の血圧に比べ、収縮期圧が平均2.9mmg,拡張期圧が平均1.9mmHg低下し、ホワイトチョクレート群では変化がみられなかったと報告しています。
また、タウバートはココアについても同様な報告をしています。173人についてココアを4週間摂取した人とこれを摂取しない人に分け、血圧の変動を調べたところ、試験2週間後で、ココア摂取群の血圧がこれを摂取しない群に比較して収縮期で平均4.7mmHg,拡張期圧で2.8mmHg低かったと述べています。その理由は血管を拡張させる物質が著しく増えたためですが、大切なことは薬に頼らなくても、血圧を下げる方法があるということです。
高齢になるにつれて、どうしても医療に頼らなくてはならなくなります。それにつれて、絶対飲まなくてはならない薬が増えてきます。一方、飲む薬の種類が増えれば増えるほど、副作用が増してきます。
長生き、しかも、健康な状態であるためには、極力飲む薬の種類と量を少なくすべきです。
初めて高血圧と指摘されたら、
「まず、自分で血圧を下げる努力して見ます。薬はその結果でお願いします」
と申し出て下さい。
それこそが
「自分の体は自分で守る」
ということです。




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