Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

冷たい検診報告書
2007年09月12日

冷たい検診報告書
山口県立大学理事長(学長)
江里 健輔

50歳前後の女性が顔面蒼白、無表情で、その上、目もすわり、一点を凝視して、診察室に入って来られました。そっt市役所から送付された「異常:要精密検査」と記載された検診報告書を私に前に出されました。
「先生、この報告書が5日前に送られてきました。読んだ途端、頭が真っ白になり、生きた心地がしなくなりました。直ぐに病院と思い、病院に電話しましたところ、マンモグラフィーや乳房エコーなど乳ガン精密検査が出来る診察日は月曜日と言われたので、辛い思いをしながら、今か今かと今日の来る日を待っていました。大丈夫でしょうか?」
と一気に口早く巻くしたてられました。
この患者さんを安心させてあげるにはいろいろな言葉より、はやく結果を出してあげるべきだと思い、患者さんの申し立てを説明することなく、乳ガン診断のために通常の検査、すなわち、触診、乳房エコー、マンモグラフィーなどを行いました。
その所見を前にして
「まったく異常ありませんよ。ご心配いりません。良かったですね。
それから、検診日は毎月曜日ですがが、症状があれば何時でも診察していますから、今度から何時でも受診してください」
と告げた途端、患者さんの顔が紅潮し、感激のあまり涙、涙でした。
そして
「有り難うございました。ようやく生き返った気持です。検診報告を見た時、これは間違いなく『ガン』だと思いました。でも、悪性でないことが判りほっとしました。この1週間の悩みは何だったのでしょうか?このようなストレスを受けたことで訴えてやりたいわ」
と、今度は元気百倍でした。
このような光景は検診を受け、精密検査が必要という知らせを受けた患者さんにしばしば見られるものです。まあ、私自身、他人事と思っていたら、身内に便鮮血反応陽性で、至急最寄りの医師で精密検査を受けるように指示されました



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