Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

自動体外式除細動器 NEW
2008年02月19日

自動体外式除細動器
  山口県立大学理事長(学長)
               江里 健輔


貴方が眠っている時でも、働いている時でも心臓は休むことなく動いています。心臓は1回の収縮で70mlの血液を全身に送り出し、1分間に70回、1日に10万回の収縮、拡張を繰り返しています。この働きの源が心臓の筋肉に酸素と栄養を送り届けている冠動脈という血管です。冠動脈は心臓の外側にあり、次第に細い枝に分かれて、心筋の中に入り、毛細血管となります。この冠動脈が異常、例えば、内腔が狭くなったり、閉塞したり(狭心症、心筋梗塞)、あるいは拡張したもの(冠動脈瘤)が冠動脈疾患と呼ばれています。このようになる原因にはいろいろありますが、ほとんどの場合は動脈硬化症です。動脈硬化症は生活習慣病の一つで、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などが引き金となります。
心臓が突然止まるのは上記のような病気に加えて不整脈によるものがほとんどです。
狭心症や心筋梗塞に早く気づくためには初期症状を知っておくことが大切です。例えば、数分間、胸、肩から背中にかけて痛む、しかし、2,3分痛みをこらえていると治まる、突然、断末的な激烈な痛みが続く、階段を昇るときに息切れがする、などの症状が出たら,要注意です。運の良い人は救急病院に運ばれ、治療を受け、一命を取り留めることができますが、あまりに突発的に発症した場合には救急病院にたどりつく前に不帰になられる患者さんもおられます。
そのような場合、どうしたら良いのでしょうか?
救急車が到着するまでに心臓が止まった場合、電気ショックを与えて救命する「自動体外式除細動器(AED)」の使用が勧められています。これまでは医師や救急救命士など一部の人に限られていましたが、AEDは心臓が止まっている間には作動せず、しかも、安全であることより、ある条件(@:医師などによる速やかな対応を得ることが困難であること、A:対象者の意識と呼吸がないことの確認を行うこと、B:自動体外式除細動器の使用に必要な講習を受けていること、C:使用される自動体外式除細動器が医療器具として薬事法上の承認を得ていること)を満たしていれば一般の人が使用してもよいことになりました。厚労省によりますと平成17年の心疾患死亡数は17万3千余人で、平成15年が16万3千人であったことより著しく増加していると報告しています。この傾向は益々増長すると考えられることよりAEDの普及が望まれるわけです。心臓が止まってから3分以内にAEDで処置すればかなりの人を救える可能性がありますので、一般人と言えどもAED使用に必要な講習を受け、使用条件を満たすように努めて欲しいと思います。
現在、AEDは航空機や客船、駅、競技場など多くの人が集まる場所には設置されています。しかし、消火器が各家庭に置かれているように、各家庭に一台ずつおくことが望ましいですが、かなり高価なものですので、少なくとも、一集落に一台ぐらい設置したいものです。



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