Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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その他

お見舞いの心得 NEW
2008年03月23日

お見舞いも患者さん中心に
山口県立大学理事長(学長)
江里 健輔

知人が入院という情報で真っ先に考えるのはお見舞いです。長い間、病院に勤めていますと、患者さんのためはなく、自分中心の信じられないような見舞いをされる方がおられます。
術後まもなく、会話もままならず、体力も回復していない時に病室に訪れて、廊下で聞こえるような大きな声で会話しておられる光景に接すると見舞いされる方に「もう少し患者さんの事を考えて」と言いたくなります。
ではどんな見舞いが患者さんにとって良いのでしょうか?
まず、手術を受けられる患者さんならば、手術前に、術後なら、退院予定まもない時に見舞いされるのが適当です。手術を受けられ場合、まだ見えない手術の結果が不安になります。「麻酔から覚めないで死んではないか」とか、「大出血するのではないか」とかあまり医学的知識がないにも拘わらず、手術のマイナスばかりが頭の中を駆けめぐります。この時、見舞い客が来られると、その間は手術のことも考えませんし、さらには、見舞い客から元気づけられますので、手術を受けることに積極的になります。要するに手術で悩む時間が少なくなります。
手術後であるならば、退院の見通しが立ち、わくわくするころです。見舞い客との会話も弾んでまいります。手術結果が悪かった場合には見舞いをしないことです。ガンなどで手術が予想に反して悪い場合には、それを受けいれる心の準備がされていませんので、どんな言葉も単なる雑音となります。手術を受けられない患者さんの場合は病気の見通しが立ったころが良いでしょう。
私のことで恐縮ですが、見舞い客に無様な恰好を見せたくないし、十分な応対も出来ず、不愉快な想いをさせることになるかもしれませんので、見舞いして欲しくないというのが本音です。そのような事で、原則として見舞いしないことにしています。その代わり、元気が出るような直筆の手紙を差し上げることにしています。手紙であれば、何時でも読めますので、あまり迷惑になりません。パソコンなどで作成された手紙はあまりに事務的で、字にかけられた想いが伝わってきませんので、つたない字であっても字の中に隠れている想いが伝わる直筆でなければなりません。年賀状で、全てが印刷されていては「元気なんだな」ということが事務的に判るぐらいですが、簡単なメッセージの直筆があるだけで、心のこもった年賀状に想いを馳せることは経験されていると存じます。
CareNet.com No.M002031に見舞いに来てほしくない人「上司」3割ということが記載されていました。それによりますと、過去3年間で1週間以上入院した20〜40歳代の454人を対象に、1月の下旬にインターネットで実施したところ、見舞いにきてほしくない人のトップは「職場の上司」33.7%, 「職場の同僚」25.8%であったとのことです。これは入院した哀れな自分を曝したくない、健康な上司あるいは同僚に自分の気持ちは理解して貰えないのだから、という本音が見えます。
我々が日常生活で一番考えておかなくてならないことは「恩義の無理強い」と思います。自分にとって都合の良いことが第三者にとっても都合が良いいうわけではありません。
見舞いする時こそは相手の気持ちになって見舞いする配慮をして欲しいものです。


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