Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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その他

高まる女性喫煙率
2008年04月22日

女性の喫煙率が高まっている
             
山口県立大学理事長(学長)
                      江里 健輔

私は毎日宇部と山口宮野のあいだを自家用車で通勤しています。その前は宇部と防府のあいだを通勤していました。七年間の通勤になりますが、気になっていることが一つあります。それは運転しながら、タバコを吹かしている女性が年々増えていることです。通勤中で、誰にも見られない自由な時間を楽しんでおられるのでしょうが、ちょっと待ってと言いたくなります。
タバコの害は理解されているので、今さら述べる必要はないでしょうが、女性には男性と異なり、生殖・妊娠・出産、ひいては胎児にも悪い影響を与えますので、男性と同じ土俵で評価出来ないことです。
WHO(世界保健機関)は地球規模でタバコが女性に与える身体的な悪影響を報告しています。まず、月経不順、月経困難症、さらには閉経が2〜3年早くなることなどがあります。妊娠への影響では妊娠しにくくなり、早産や自然流産が非喫煙者の1.2〜1.8倍も増えます。それ以上に恐ろしいのは胎児死、死産が増え、妊娠4ヶ月以降の喫煙は未熟児誕生の原因にもなります。これらの原因は明らかです。喫煙されている読者の方はすでに経験されているでしょう。早朝に吸う1本のタバコで目覚めを実感出来、無上の快感を味わうことが出来ます。これは喫煙によってニコチンの濃度が次第に高まっていき、手足の血管が収縮し、血液循環が悪くなったために発生するものです。このような現象は胎児にも起こっているのです。喫煙で胎盤や胎児への血管が収縮し、栄養を運ぶ血液が胎児に充分届かなくなるので起こるのです。胎児を身ごもったお母さんが喫煙される度に、胎児は「苦しい、苦しい。お母さん、たばこを吸うのをやめて!」と叫んでいるのですが、勿論、母親にはこの声は届きません。
多くの女性が喫煙される動機は体重増加を抑え、スリムになりたいということのようですが、確かに、ニコチンは食欲を抑制し、基礎代謝を上昇させるので、非喫煙者に比べると平均体重は軽く、恰好のよい体型を保つことができます。しかし、一服するたびに毛細血管の血流が途絶え、皮膚への血液の流れが悪くなり、皮膚のしわ、薄毛、爪の割れ、黄ばんだ歯、口臭などマイナス面の方がはるかに大きいのです。この様な喫煙は母親のみならず、全ての女性に多大の影響を及ぼす事になります。
ミシガン大学保健システテム精神科医Cyntis Pomerleu教授らの報告では禁煙での体重増加の程度は2.3kg未満なのは4人に1人、2.3〜6.8kg未満は4人に2人で、6.8kg以上の体重増加が起こるのは4人に1人にすぎず、禁煙が体重に及ぼす作用は、多くの女性が恐れるほど強くはないと報告しています(Medical Tribune 2008,2.28より引用)。
現在のペースで女性喫煙率が増加すれば、15〜30年の間にタバコによって死亡する数は倍増する計算になり、生殖年齢の18〜44歳にある女性の約26%が喫煙していることを考えると地球温暖化の問題もさることながら、人類存亡そのものの変化に多大の影響を及ぼすことになります。(YAHOO!JAPAN,08.3.5)。
女性が女性である誇りを持って欲しいものです。



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