Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

歳をとっても、老化になりたくない
2008年04月25日

歳をとっても、老化になりたくない
               山口県立大学理事長(学長)
                        江里 健輔


2007年の高齢社会白書によれば、2050年には75歳以上の後期高齢者の割合が国民の4人に一人になる推計です。多くの方は「歳を取ることは仕方ないが、いつまでも若い体でありたいと思っておられるでしょうが、間違いなく、加齢現象がじわっと押し寄せてきます。
では、どうしたら老化を抑えることが出来るのでしょうか。
老化は金属が古くなるとできる一種の「サビ」です。「サビ」は金属が酸素と化合する、いわゆる酸化で発生するものです。同じように、ヒトの体内でも酸化が起こり、細胞の機能が失われてくるのです。この「サビ」は体の中にある「フリーラジカル」という不安定な原子のせいです。「フリーラジカル」は不安定ですから安定しようとして、体の中にある原子から電子を奪い取ろうとします。すなわち、酸化しようとします。従って、「フリーラジカル」が増えれば増えるほど酸化がどんどん進みますので、細胞はどんどん「サビ」付いて、破壊されてしまいます。
一方、「フリーラジカル」を大量に生み出すものもあります。代表的なものはタバコです。タバコに含まれるカドミウム、鉛、ヒ素、水銀などの重金属は体に欠かせない微量元素であるマンガン、セレン、亜鉛などを体から追い出しますので、「フリーラジカル」を増やす原因にもなります。更に重要なことは精神的な悩みです。悩み悩んで不眠になるようなストレスにかかると自律神経のバランスが乱れ、血管に異常な収縮が起こります。収縮すれば血流量が少なくなり、組織に酸素不足が生じます。酸素不足が起こると、大量の「フリーラジカル」が発生します。事実、うつ病になったヒトでは抗酸化酵素の活性が低下していると報告されています。
このように老化の進みを遅らせるには「酸化」から体を守る、いわゆる「抗酸化力」を高めれば良いのです。
「抗酸化力」を高めるには「抗酸化力」を多く含む食品を摂取したり、バランスのある食生活、運動などの生活習慣の改善などによってそれを高めることができます。代表的なものは野菜に沢山含まれているビタミンA,C,Eや最近にわかに脚光を浴びているコエンザイムQ10などを摂取することがよいことになります。コエンザイムQ10はもともと強心剤として開発されたものですが、2001年に食品への添加が認められて、何時でも手に入るようになりました。これを多く含んでいる食品はイワシ、サバ、豚肉のような魚・肉、その他にブロッコリー、大豆、ピーナツなどです。
一方、「抗酸化力」を高めるために最近マスコミを賑やかしているものにサプリメントがあります。しかし、有効性が証明されているものは極めて少ないです。例えば、ビタミンCが不足すれば貧血や出血を起こす壊血病になることは知られていますが、ガンや動脈硬化への予防効果は証明されていません。食物繊維は脂肪や発ガン物質の吸収を抑えますが、多く取りすぎるとカルシウムの吸収まで抑制しますので、「骨粗鬆症」になりやすくなりますので、ほどほどでなければなりません。
貝原益軒の「養生訓」には「薬補は食補にしかず」とあるように薬より食事が有効であるのは当然であります。したがって、「抗酸化力」を高めるために、むやみやたらにサプリメントを取ることは慎むべきでしょう。

老化はすべてのヒトに同じような経緯で生じるものではありません。基本は生活習慣のバランスになります。日常の心がまえと強い意志がかなり求められますが、全て自分自身の為なのです。





[ もどる ] [ HOME ]