Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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ご存じですか?活性酸素 NEW
2008年09月24日

            ご存じですか?活性酸素
              山口県立大学理事長(学長)
                       江里 健輔

ご年配の方ならオキシドールといえば、
「ああ、泡を出す消毒薬品か」
と思い出されるでしょう。若い人で知っておられる方は少ないでしょうが、このオキシドールのような活性酸素が、今、注目されています。
活性酸素についてのお話です。
活性酸素は電子数が極めて不安定なので、ほかの物質と反応しやすい性質をもっています。この活性酸素はあらゆる動物や植物内で作られ、侵入してきた細菌やカビ、ウイルスなどをやっつける大切な働きをします。金属などを長く放置しておきますと、サビつきますが、これは金属が活性酸素で酸化されたもので、体内でも同じようなことが起こります。したがって、適当な量の活性酸素が体内で作られている時は心配する必要はありませんが、なんと言っても不安定ですから、ちょっと油断すると過剰に作られます。過剰に作られますと、正常な細胞をも「敵」と見なして攻撃しますので、さまざまな病気を誘発することになります。勿論、我々の体には防御作用がありますので、過剰に出来ないように、体内から除去する物質、すなわち、抗酸化物質が働きます。我々の健康が保たれるかどうかは体内で作られる活性酸素と抗酸化物質とのバランスがうまく保たれているかによります。
通常、活性酸素が体内で過剰につくられることは稀ですが、今、問題になっているのが大気、水質、土壌などの外部からの汚染です。
具体的にはオゾン層の破壊による紫外線照射量の増加、ガンを誘発する農薬、DNAを壊す殺虫剤、車の排気ガスなど例を挙げればきりがありませんが、このような産物で体の細胞が傷つき、そのために活性酸素が益々増えるという悪循環が生じて来ています。中でも、組織に栄養を送る血管が傷つけられると、いろいろ致死的な病気を誘発することになります。例えば、動物性蛋白を摂りすぎると、コレステロールや中性脂肪が増えるので、体によくないことは知っておられるでしょう。問題は活性酸素と反応して脂質が酸化され、過酸化脂質に変わるのが怖いのです。先ほど述べましたように「サビ」が体に発生するのです。この過酸化脂質が糊のような働きをして、血液中のコレステロールや中性脂質を血管壁に付着し、そのために、血管壁が厚く、かつ脆くなり、血液の流れを悪くして、それぞれの臓器が酸素不足となり、疾病を生じることになります。その代表的な病気が脳卒中、心筋梗塞などです。
過剰な活性酸素を取り除くにはどうしたら良いのでしょうか?
過労、ストレス、暴飲暴食などをなくすように生活様式への配慮がもっとも大切であることは当然ですが、活性酸素の産出を抑制する物質を体外から補うことも重要です。それらの物質(抗酸化物質と云います)として、ビタミンE, ビタミンC, ビタミンA, ビタミンB2,ポリフェノール、カテキンなどがあります。それもハウスものではなく、天然栽培の新鮮な野菜や果物に豊富に含まれているとされています。
しかし、いくら体外からこれらの食物を摂取しても、環境汚染がどんどん進めば、焼け石に水です。
地球温暖化で、炭酸ガス排出を抑制するよう運動が叫ばれていますが、我々一人、ひとりが身近な問題として、真剣に考えなくてはならない時期が来ていると思います。これらの問題は一見、他人事や将来のことと考えがちですが、今、我々が直面している問題なのですが、どうでしょうか?



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