Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
風のとき(宇部日報)

「牛に経本」にならないように NEW
2009年01月01日

「牛に経文」にならないように
                  
山口県立大学理事長(学長)
    江里 健輔
                                     

毎年のことですが、今年こそ良いことがあろうと希望を膨らませて、新年を迎えますが、平々凡々で終わるのが常です。それでも、何らかの希望を持つのが人間の人間たる証拠でしょうか?昨年は地球を襲った金融危機が、世界を不安に陥らせましたが、今年はアメリカ大統領がブッシュからオバマに代わりますので、少しは希望が持てるかもしれません。
住みよい地球にするには、将来を担うすべての子供達には才能が十分あると考え、しっかりと、自信をもった大人に育てなくてはなりません。それには大人の価値観で物事を判断するのではなく、子供の目線で判断することも大切でしょう。
お母さんが幼稚園の娘さんの純ちゃんに
「純ちゃん、お父さんが大切にしている盆栽に水をやらなければならないの。お父さんは忙しいから、お手伝いとして、毎日、盆栽に水をやってくれない?」
「お母さん、褒美に何くれるの?」
「そうね、純ちゃんの好きな洋服を買ってあげようかねー」
「きっとよ。お願いね」
その日より、純ちゃんは毎日盆栽に水をやるのが日課になりました。ところがある日、大雨が降りました。お母さんが
「今日は雨が降っているでしょう。だから、盆栽に水をやらなくていいのよ」
「でも、これは純ちゃんの仕事だから、やるよ」
「雨が降っているのだから、今日水をやるのは無駄なのよ」
純ちゃんはなかなかお母さんの言う事が理解できません。その訳は大人社会の説明だからです。これでは、純ちゃんは完全に納得出来ません。しかし、
「雨が久しぶりに降ったね。純ちゃんが毎日水をやってくれるもんだから、神様がね、『純ちゃん、毎日大変ね。よく頑張っているから、ご褒美に今日は休みなさい』と言って、雨を降らしてくれたのよ」
と説明すれば、純ちゃんも容易に理解出来た筈です。
何事も「牛に経文」とならないよう、子供には子供にあった、患者さんには患者さんにあった目線で対応するように、相手に応じた目線で対応することが今日の社会では求められているのではないでしょうか?



[ もどる ] [ HOME ]