Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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その他

太らないようにする NEW
2008年12月21日

太らないようにするには
               山口県立大学理事長(学長)
                        江里 健輔

肥えると外観が悪いので痩せたいと願う若者が多いようですが、大切な事は見た目ではなく、体に良いか悪いかです。今回はやせる願望が強い人に太らない良い方法を教えましょう。
肥満は食べた食事のエネルギーがきちんと消費されないためにエネルギーが余って体に脂肪として蓄積される状態です。この余った脂肪は体のどこにでも貯まりますが、特に内臓に貯まると体に良くありません。何故なら、内臓に貯まった脂肪は皮下に貯まった脂肪より、代謝が活発であるため、体にいろいろな悪い影響を与えます。脂肪の代謝産物である遊離脂肪酸(FFA)が沢山放出され、肝臓に入り、脂肪合成が盛んになり、体内コレステロールが高くなります(高脂血症)。一方、インスリンは血液から糖を吸収し、エネルギーとして変換させる作用がありますが、遊離脂肪酸はインスリンの効果を悪くしますので、血糖値が高くなります(糖尿病)。その他にアド骨クチンというホルモンに影響し動脈硬化を促進します。
このように、肥満で良いことはほとんどありません。太らない為には沢山食べなければよいわけですが、食欲を無理に抑えることはなかなか出来ません。

では、満腹はどうして感じるのでしょうか?

満腹中枢は脳の視床下部にあります。血糖値が高くなると視床下部が刺激され、血糖値が高くなり「満腹感」という情報が発信されます。この信号が伝わるには約20分ぐらい掛かります。したがって、20分以内にはいくら食べても満腹感は得られません。従って、よく噛まずに呑み込んでいると、信号が到達するまえに必要以上食べ過ぎてしまうことになります。早食いが肥満の元であるかどうかの研究結果がライオン歯科衛生研究所と東京歯科大学社会歯科学研究所より報告されています。それによりますと、2004年4月都内で働く20〜50代の男女340人を対象に太り気味の程度を表す肥満度指数が24を超えた人のなかで、食べるのが「遅い」と答えた人は9.8%であったのに対し、「早い」と答えた人は43%に達していました。また、肥満度指数が24以上の50%の人は「余り噛まない」と答え、「よく噛む」と答えた人は13.7%でした(FINE-club健康で元気な暮らし情報より)。「食べるのが早い」とか、「よく噛む」という基準はありませんので、かなり感覚的なものですが、肥満の理由から察すれば、このようなデータは十分納得出来るものであると言えます。
日本人に肥満症が増加しつつある主な理由は脂肪摂取量の増加、消費カロリーの減少、日本人の体質(膵臓のインスリン分泌能が低い、太りやすい遺伝子をもつ人が多い)などがあります。しかし、これ以外に、遅くまで仕事をし、それから夕食を摂り、すぐ就寝したり、あるいは、食事中も会話をせず、ひたすらテレビを見ながら食事するなどライフスタイルの変化も大きな原因です。
食べたい、しかし、太りたくないと思う人は20分以上かけて、20〜30回以上噛んでゆっくり食べれば太りたくないという願望を達することが出来るでしょう。早速、実行されてみては如何ですか?



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