Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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ライフスタイルが死亡に関係する NEW
2009年02月01日

           ライフスタイルが死亡に関係する
                  山口県立大学理事長(学長)
                          江里 健輔

ある奥さんが大好きな男性と結婚しましたが、1年過ぎたころより一緒に生活することが苦痛となり、合理的に別れる方法はないものかと思案したそうです。その結果、次ぎのようなことを考えついたそうです。
@ 仕事から帰っても何もさせない、上げ膳、据え膳の生活をさせる、
A 肉食を中心とした動物性蛋白ばかりの食事を食べさせる、
B ストレスをまったく与えないか、又、逆に過度に与える、
C 酒、タバコを積極的に勧める、
D サプリメントのような薬を沢山飲ませる。
これを毎日、毎日欠かさず実行したところ、ご主人はだんだん太って、お腹も出で、血圧も高くなり、50歳過ぎたころ、心筋梗塞で亡くなられたそうです。奥さんはあまりに計画通り進んだので、嬉しいような、悲しいような割り切れぬ気持を覚えながら、ライフスタイルの重要性を改めて認識されたそうです。
この話しは、ライフスタイルの重要性を強調するために面白くした単なる例え話しですが、この逆をすれば長生き出来るということにもなります。確かにいろいろ検証されたデータがあります。例えば、1日に1時間歩く人はほとんど運動しない人よりも、ガンで死亡する危険性は50%以下であるとか(沢田亨:東京ガス健康開発センター)。運動する人の脳の血流量はしない人より多い、肉食を食べるとコレステロールが増え、動脈硬化になる、薬の副作用発生率は4剤服用すると60%,10剤で100%(Nolan L,et al:Age Ageing 18:52,1989)などなどであります。
最近、面白い報告がなされました。それによると、ライフスタイが中年女性の死亡に影響するというものです(メデイカルトリビューン、2008年10月9日より引用)。1980年、心血管疾患およびガンに罹っていなかった34〜59歳の女性7万7782人について、@喫煙、A過体重、B激しい身体活動をしない、Cあまりアルコールも摂取しない、D質の低い食生活と死亡との関係を24年間追跡しました。その結果、追跡期間中に死亡した人は心血管1,790人、ガン4,527人、その他2,565人、計8,882例でありました。5つの因子がゼロの女性はすべての因子を持つ女性に比べ、心血管疾患で死亡する割合は8.17倍,ガン死3.26倍でした。追跡期間中に死亡した28%が喫煙、55%が複合因子(喫煙、過体重、身体活動の不足、質の低い食生活)に深く関係していたとのことです。
女性には動脈硬化を抑える女性ホルモンであるエストローゲンが分泌されますので、生理がある間はあまり動脈硬化は進みませんが、閉経になりますと、このホルモンの分泌が減少しますので、急速に動脈硬化が進みます。従って、対象が60歳以上の女性となりますと、ライフスタイルが死亡に影響する割合はさらに高くなるでしょう。
元気で老後を送るには日常生活が如何に大切であるかを立証した貴重な追跡調査で、ライフスタイルを平常から心がけて健康寿命を全うしたいものです。




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