Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

ペットが吠える NEW
2009年03月16日

ペット犬が吠える
              山口県立大学理事長(学長)
                      江里 健輔

散歩が体に良いことは今更申すまでもありませんが、作家の森本哲郎氏がPHP3月号に「憂鬱な散歩」と題したエッセイに、健康のため、散歩したいが、彼の住んでいる地域の環境はセメントの電柱、クモの巣のように張りめぐらされた電線などなど乱雑な風景が延々と続くため、心が癒されず、散歩するのをためらうと述べています。
私はアストピアに住んでいますが、ここは10年前に開発された住宅街で、車道と歩道がきちんとと整備され、街灯も適当な間隔に位置し、夜中でも明るく、昼夜に関係なく散歩には適した住宅街です。しかし、困ったことがあります。それは突然、ペット犬に吠えられることです。毎日、朝5時から1時間ぐらい歩行していますが、この時間は無風で、音もせず寂然とし、自動車が時々思い出したように走るぐらいで、地球が止まったような錯覚に陥る時があります。従って、散歩中はこれから来る一日のスケジュールや書き物の内容を考えたり、昨日の某氏の発言内容の意図などなどに思いを巡らしながら、沈思しています。そのような時、突然、裏庭の垣根からペット犬が頭を出し、今にも噛みつきそうに「ウッ」とか「ワッ」と吠えまくります。ペット犬ですから、鎖に繋がれているため、噛みつかれるという恐怖感はありませんが、予期しない威嚇ですから、精神に与える衝撃は大変なものです。
心臓の栄養を司っている血管(冠動脈と言います)はストレスによる急激な血圧上昇、喫煙、激しい運動、アルコールなどで痙攣を来たし、突然死となることがあります。ペット犬の吠える声で血管が痙攣し、狭心症、さらに、心筋梗塞に陥る可能性もあります。大袈裟ですが、ここで倒れたら、飼い主に迷惑がかかると極度に緊張します。アメリカでは犬に吠えられて、心筋梗塞になり、莫大な補償金を支払わされたという話があります。ペットを持つことは番犬の役割の他にも心が癒されるし、優しい気持ちが育まれますので、喜ばしいことです。しかし、何事でもそうですが、まったく関係ない第三者に迷惑をかけるようなことは褒められたことではありません。ペット犬所有者の敷地内に入ろうとして、吠えられるのは仕方ないことですが、公道を散歩している人に吠えるような教育をペット犬にしているよう愛犬家には、ペットを飼う資格などはないと言えます。夕方や早朝に多くの長寿者が散歩されています。取り返しがつかぬうちにペット犬を教育しておくことをお勧め致します。そうすれば、毎日、運動のために散歩する遊人には楽しい散歩が出来るようになるでしょう。




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