Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

患者学1 NEW
2009年04月22日

患者学T---コーヒーと健康---
               山口県立大学理事長(学長)
                      江里 健輔

健康を保つにはどのような努力をすれば良いかと悩んでおられる人が沢山います。歳を重ねるにつれて、体の具合が悪くなる度合いが強くなるので悩むのは当然のことです。30歳の時の体力を100とすると、70歳になれば、60ぐらいに低下しますので、いずれ訪れる「死」に対する恐怖と不安がつのってまいります。それで、多くの方が「死」への不安と恐怖を少しでも少なくしたいと、体力維持にいろいろな事を試みておられるでしょう。その心に目をつけて、いろいろな健康食品が販売されていますが、多くの健康食品には健康に効いたという確固たる証拠がありません。
しかし、コーヒーがある種の病気を予防すると言う証拠が学会誌に報告されるようになりましたので、紹介します。
コーヒーと肝癌:イタリアのグループによる発表では(Medical Tribune,8/16'07より)、コーヒーを飲まない群と比べて飲む群では肝細胞癌発症の可能性(リスク)が41%低下したということです。摂取量別の肝細胞癌発症リスクは、少量〜中等量群で30%,大量群で55%低下したとのことです。
コーヒーあるいは紅茶と脳梗塞:。コーヒーを1日2杯未満しか飲まない群での脳梗塞発症リスクを1とすると、1日8杯以上飲む群のそれは0.77でありました(Medical Tribune,6/19'08)。一方、紅茶をまったく飲まない群に比べ、1日2杯以上飲む群のそれは0.79であり、コーヒーあるいは紅茶は脳梗塞発症を低下させる効果があることが分かりました。
コーヒーと口腔、喉頭、食道癌:それぞれの発生リスクを低下させることが東北大学のグループより発表されました(Medical Tribune,1/15'09)。これによると、コーヒーを飲まない群を1とすると、1日1杯以上飲む群のそれは0.51と飲む群で癌になる可能性は低かったとのことです。これは酒、喫煙を飲む、飲まないに拘わらず同じような結果でした。
コーヒーと認知症やアルツハイマー病(AD)(Medical Tribune,2/19'09)
65〜79歳の1409人について、平均21年間追跡したところ、コーヒーを飲む群はコーヒーを全く飲まないかごくたまにしか飲まない群に比べ、老年期での認知症とADの発症リスクが低く、特に、3〜5杯飲む群で65%と最も低かったとのことです。
コーヒーに含まれるカフェインには中枢神経系への刺激作用や抗酸化作用(鉄が酸化されてサビルように、細胞が酸化されてその機能が失われてしまうような現象)があります。このような作用がある種の病気発症の可能性を低くしているのかもしれませんが、はっきりしたメカニズムは分かっていません。しかし、いずれにしても、これだけの証拠を見せられると高価で、その上、何らの根拠のない健康食品を飲むぐらいならば、値段の安いコーヒーを飲む方が利口なのかもしれません。
果たして貴方はどうでしょうか?




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