Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

最後は自宅で NEW
2009年04月27日

最後は自宅で過ごしたい?
                    山口県立大学理事長(学長)
                                      江里 健輔

2007年度の医療費は2006年度より3.1%増え、33.4兆円で、過去最高であると厚生労働省が発表しました。中でも70歳以上の高齢者の医療費は14.5兆円と全体(公的医療保険と公費から支払われる医療費)の43.4%と人口の高齢化にともない、高齢者の医療費は急速なペースで伸びています。このため、厚生労働省は療養病床再編を打ち出しています。療養病床には医療保険が適用される医療療養病床と、介護保険が適用される介護療養病床があります。前者は病状が安定している長期療養患者のうち、密度の高い医学的管理や積極的なリハビリテーションを必要とする者、後者は病状が安定しながらも、療養上の管理が必要とする者が対象となります。しかし、医師の直接の管理をほとんど必要としない、いわゆる社会的入院(家庭の都合で入院させる)約50%もおられることが判明したので、無駄な医療費を削減するため、今回の再編になったのです。即ち、平成24年までに医療療養病床(25万床)と介護療養病床(13万床)を合わせた38万床を医療療養病床(15万床)だけにし、老人保健施設、ケアハウス、在宅療養支援拠点など適切な介護施設等23万床を設けるシステムであります。これを宇部市に大まかに当てはめれば、医療療養患者1018人を700人とするため、残りの318人と介護療養で入院しておられる706人、計1024が平成24年までに退院し、他の施設に変わらなくてはなりません。問題はこの再編が療養の質の低下を招き、患者さんの不安、不満が倍増しなければよいが、ということです。
これに関して面白い記事が掲載されました(朝日新聞,2009,3,13、原文のまま).
将来だれに介護して貰う予定か、という質問に
桝添厚労相は母親の介護で大変苦労した。介護はプロに。家族は愛情のみ。
麻生首相は4世代同居していたので、介護の大変さは理解している。方向性としては桝添大臣が正しい。
与謝野財務相は子供に面倒をみて貰えるとも思っていない。女房に迷惑をかけられない。入れる施設があったら入りたい。
鳩山総務相は認知症の傾向が出た場合、自宅よりグループホームの方が幸せ感があるのではないか?
表現こそ違いますが、いずれの思いも同じで、上記の大臣はだれも自宅で面倒をみて欲しいと思っていません。時の施政者が自分に介護が必要となった時、在宅療養支援を希望していないのに、医療費削減という表現ではなく、限られた医療資源を効率的に活用するためにという美辞麗句のもとに、最後は家庭で家族に見守られて天命を全うするのが最高の幸せの如く在宅療養を勧めています。
最後はプロの方の介護を受け、家族に見守れながら、静かに消えたいものですが・・・



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