Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

患者学3:怒るのは心臓に悪いですよ NEW
2009年06月24日

患者学B:怒るのは心臓に悪いですヨ
              山口県立大学理事長(学長)
                      江里 健輔

貴方は自分の感情を臨機応変に抑えることができますか?
怒ったりすると、心臓の拍動が速くなったり、なま汗をかき、全身がびっしょりになったような経験があるでしょうが、何故でしょうか?これって、体にいいのでしょうか?
笑ったり、泣いたり、怒ったりするのはすべて神経の作用です。我々の体、感情はすべて神経でコントロールされていると言っても言いすぎではありません。ところで、自律神経には交感神経と副交感神経と二つあります。交感神経は、別名「昼の神経」と呼ばれように、昼間、活発に動いている時に作用し、一方、副交感神経は「夜の神経」と呼ばれ、安静にし、休息している時に作用するものです。だから、怒ったりすると、この交感神経が活発になるものですから、脈が速くなり、血管が収縮し、血圧が上がります。これに対し、副交感神経が働くと脈はゆっくりとなり、血圧は下がります。即ち、両者は全く逆の働きをしますので、このバランスが保たれない時には、各器官の調節が取れないため、自律神経失調症ということになります。
怒りと敵意が心臓に悪いという研究が発表されました。チダ等の報告によりますと、冠動脈性心疾患、例えば、心筋梗塞等をもったグループと健康なグループを対象に怒りと敵意が冠動脈疾患の発生にどのように影響するかどうか調べたところ、怒ったり、敵意を持つことは健康なグループでも冠動脈性心疾患の発生が増加し、冠動脈性心疾患をもったグループでは病気が一層悪くなる可能性が高く、これは女性より男性に顕著であったということです(メデイカル・トリビューン、6月4日、2009より)。
心臓の栄養を司っている冠動脈が閉塞して発生する心筋梗塞は肥満、高血圧、高コレステロール、糖尿病を持つ人に多発することは知られていますが、これらが4つ揃うと、心筋梗塞を発生する割合は全く持っていない人の32倍であるとされています。エネルギッシュに働くのはとてもいいことなのですが、交感神経がいつも緊張状態にあるので、体力を消耗し、体によくありません。臓器や器官をリラックスさせ、エネルギーを保存するために、副交感神経を優位にさせるような時を持つように心がけることが大切です。
それにはあまり怒らない、悲しまない、悲観的にならないなど喜怒哀楽を極力抑えるように心がけることが大切です。これはかなり難しい事ですが、何事も、まあどうにかなるさと思うように努めましょう。




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