Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

患者学C:病院の本質は何か? NEW
2009年07月27日

          患者学C:病院の本質は何か?
                    山口県立大学理事長(学長)
                            江里 健輔

最近、ニュータイプの総合病院が完成したことが報道されました。それによりますと、画家の作品32点を病院内に展示し、さらに、「健康応援図書館」と称し、地元の作家の著書百点を備えて、蔵書一万冊を並べ、その上、海峡を眺めながらアルコールが飲めるレストランもあり、院長は「旧来のような逃げ込み寺ではなく、質の高い生活環境を確保した」と居丈高にアッピールしているとのことです。一般病棟であれ、長期療養病棟であれ、こころを癒し、健やかな入院生活を持つための環境整備は必要でしょうが、それが突出し過ぎると、病院本来の在り方を逸脱しているとしか言えません。ただ、これらの生活環境が寄付行為で、税金で為されたものでなければ問題なく、諸手をあげて賛辞を送りますが、この病院はどのような資金で整えられたのでしょうか?

少しでも、早く治療を受けて頂き、少しでも早く退院させることを旨とする急性期型療養病院に入院している患者さんには、図書館を院内に設けても、とても読書するような気持にはなれないでしょう。ましてや、眼の病気の患者さんにとっては、ハンデイーを強いるようなものです。私が病院長時代、ある患者さんから、「私は眼が悪くて入院していますので、図書室を設けられても、本は読めません。図書の購入費はどうされたのですか?」という質問を受け、「すべて職員の寄付によるものです」と答え、納得して貰ったことがあります。
アルコールが夜9時まで飲めるということは患者さんの気持をそでにしているようなものです。病人にとっては元気な人は羨ましいだけです。まさか、歓談声が病室まで聞こええることはないでしょうが、患者さんと赤ら顔をした人とが廊下で出会わないとも限りません。山口大学病院のレストランでアルコールを21:00まで飲めるようにしたところ、患者さんからクレームが出て、即座に中止したという話しがあります。
「有限の財源、無限の医療」と言われているように、医療を整える財源は無限です。急性期型療養病院では公金を使ってまでして、図書館や、アルコールを飲むためのレストランを設ける財源はない筈ですが・・・。お金を使う順番をはき違えているしか思



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