Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

20年後の体調は? NEW
2009年09月18日

患者学E:貴方の20年後の体調は?
山口県立大学学長(理事長)
江里 健輔

自分がこのままあと何年間健康で過ごせるかどうかを知ることが幸せかどうかは判りませんが、予防医学が進歩するにつれて、ある程度、予想出来るようになりました。
東山 綾(長寿科学振興財団リサーチレジデント)らは興味ある研究を報告しています。それによると、日本人約1万人を@血圧120mmHg以下で、高血圧治療歴なし、A血清総コレステロール値160〜240mmHg,B糖尿病の既往歴なし、C現在喫煙なしの4項目について19年間追跡したところ、すべてに該当するものはそれ以外に該当する者に比べ、全死亡者の割合が37%低く、特に、心筋梗塞などの循環器疾患の死亡割合は67%と低かったそうです。また、約6万人を、現在喫煙なし、過量飲酒なし、1日1時間以上歩行する、睡眠時間は1日6.5〜7.4時間、ほぼ毎日緑色野菜を食べる、BMIが18.5〜24.9という6つの条件について13年間追跡した調査では、すべてに該当した者は、0〜2条件しか該当しない者に比べ全死亡の危険度は男性で58%,女性で51%低下していたということです(MMJ,5:472〜73,2009より)。
以上の報告で判るように健康的な生活習慣を実践している者は20年先の健康が保証されているともいえます。私の尊敬する先輩が
「俺が死ぬ時は医師にかかった時である」
と豪語しておられました。その先輩は生活を規制してまで長生きしたくないと申され、毎日肉食を摂り、喫煙され、酒は浴びるほど飲み、70歳を過ぎたころには手が震えるようになられました。仲間がいい加減に生活を律しないと長生きできないよ、と忠告しておられました。彼はいつも「好きなことも出来ないで、生きしてもしょうがない」と申され、医師には全く受診されず、生活を改める傾向もありませんでした。最終的には75歳の時、肝ガンで亡くなられました。今、思うと、この先生は若い時、沢山手術をされ、その間にC型肝炎に罹り、早晩、肝ガンになることを予想し、自分の寿命はそんなに長くはないと悟られ、元気なうちは好きなようにして生きていこうと決心されていたようです。誠にあっぱれな人生観と言えるでしょう。
高齢期になっての生き方は人さまざまですので、他人からとやかく言われるようなものではないのですが、今回の報告は健康的な生活習慣を持つ人ほど長生きが出来ることを科学的に証明したものです。貴方が先輩のような生き方を選ばれるかあるいは生活を規制して元気で、健やかな老後をすごすかは貴方自身が決めることです。





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