Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

父親が40歳の時、心筋梗塞で NEW
2009年10月21日

患者学F:父親が40歳の時、心筋梗塞で
山口県立大学学長
江里 健輔

子供が望むことは少なくとも親より長く生きたい、そうしなければ親に申し分けないと思うことです。従って、親がどのような病気でこの世と別れたかが気になるものです。いろいろな疾患の中で、親が心筋梗塞でなくなった場合にはその子供も心筋梗塞でなくなる可能性が大きいと言われています。家族性高コレステロール血症は遺伝疾患ですので、当然、若年期死亡は予想されますが、そのような家系ではないのに、親が40歳代で心筋梗塞でなくなった場合には注意する必要性があります。それでは、毎年、病院で心電図や血液検査などの精密検査を受けることが必要でしょうか?勿論、それを受けることに越したことはありませんが、受ける時間、経費負担など必ずしも、容易ではありません。
簡単な方法を紹介しまししょう。
ウイーン大学病院の小児・青年期医学科のマリア・フリッシュ博士らは「父親あるいは母親が心筋梗塞を発症している場合、あるいはそれで死亡された場合、その子のリポ蛋白、Lp(a)、を検査すべきである」と述べています(メデイカル・トリビューン、2009,2,12より)。彼等は30歳代で父親、または母親が心筋梗塞を発症した小児44例の脂質代謝を調べてところ、31.8%にLp(a)が高値であったと述べています。
疫学的に、Lp(a)値が高い人 は心筋梗塞などの虚血性心疾患に罹る割合が高く、動脈硬化の危険因子とされています。通常、心筋梗塞の危険因子の指標として総コレステロール、トリグリセライド値、LDLコレステロールが用いられていますが、Lp(a)に注目した報告はあまりありませんでした。
心筋梗塞は突然前触れもなく襲ってまいります。この理由は心臓を栄養している冠動脈が75%以上まで狭くならないと症状が出ないからです。何時も元気で、体力に自身がある人でも、既に冠動脈が動脈硬化に陥っていることはしばしばあります。ガンに罹ると死を宣告されたに等しいと恐れられていますが、心筋梗塞は恐れられていません。1935(昭和10年)の心筋梗塞の死亡率は全死亡率の3.4%でありましたが、1965年には10.8%,1982年には17.7%と年々増え、しかも、急性心筋梗塞の死亡の60%が発症後1時間以内に集中しています。
ガンの定期検査を受けると同じように、心筋梗塞を生じますと、まさに待ったなしです。発症予防のためにも簡便なLp(a)の検査を受けられることをお勧め致します。



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