Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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ひとりものは早死にする? NEW
2009年10月31日

一人(ひとり)ものは早死する?
山口県立大学学長
江里 健輔


敬老の日を前に全国有料老人ホーム協会が募集した「シルバー川柳」に
「我が家にも政権交代夢にみる」
「夫婦仲社会福祉と妻はいい」
「五十年かかって鍋と蓋が合う」
などが入選したとのことです。いずれも恐妻家をなんの恥じらいもなく、打ち明けたものですが、長年苦楽をともにしてきた夫婦の自信の表れで、羨ましいかぎりです。今年は100歳以上の高齢者が4万人を越え、その中には夫婦の歳を合わせると200歳以上になる数カップルもおられるそうです。神・仏が与えられた最大の贈りものでしょうが、お互いに労りあいがあったからこそ、二人とも100歳以上に生き伸びられたのかもしれません。
しかし、一方では未婚者は若くして死亡する可能性が高いというショキングな報告がカルフォルニヤ大学ロスアンゼルス校ロバート・B・カプラン教授らにより報告されています。彼等は1989〜1997年の米国の人口調査と死亡証明書データに基づき6万7千人の成人を対象とし、死亡を追跡調査しています。その結果、89年に結婚あるいは同居していない群は同居している群より同期間に死亡する可能性は58%も高かったということです。(J.Epider.&Com.Health,2006;30:760-765
より引用)。興味ある事は死亡に最も影響を受けた人達は@健康状態が非常に良好、A女性より男性であったことです。女性群が男性群より死亡率が少ないことは理解できますが、健康状態が良い群で大きな影響を与えることに疑問を感じられると思います。多分、配偶者とともに生活することで、食生活を含め、生活習慣が規則正しく行われていた状態が配偶者を突然失い、一人になり、これまでの社会との密なつながりが、希薄となり、より孤独となり、死亡に関連するのではないかと思われます。
我々は経験的に妻に先立たれると、夫は早晩亡くなられることを実感していますが、このように、研究し証明されたことは価値あることです。
講演で
「貴女のご主人の命は妻である貴女の手のひらに握られているのですから、バランスのとれた食事を作ってあげてくださいネ」
と話したところ、
「夫は私の言うことなど素直に聞いちゃくれません」
と言いながら、幸せそうでした。



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