Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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その他

サプリメントは効くの? NEW
2009年11月28日

フリッシュ
(平成21年11月)

サプリメントは効くの?
山口県立大学学長
江里 健輔

一流新聞にいろいろなサプリメントの広告が毎日のように掲載されています。読者に気持を高揚させる記事になっていますので、これを飲めば、どんな病気でも治るように錯覚させます。当局から過大宣伝と糾弾されたサプリメントがありましたが、広告を済みから済みまで読みましても、効くとは決して書かれてはいません。例えば、「関節機能に重要な役目をはたしている硫酸コンドロイチンは経年的に減少する」と書かれ、その横に、「減少した硫酸コンドロイチンの補給に○○サプリメントをどうぞ」とありますが、ここにも、増やすとは書かれていません。しかし、これを読んだら、誰しも、○○サプリメントを飲めば、関節痛が治ると思うのは当然です。
いろいろなサプリメントが市販されていますが、病気に効いた科学的証拠、エビデンスのあるサプリメントは残念ながらありません。ある市販されているサプリメントは飲んでも95%が尿として排出され、体内に残る量は数%に過ぎない。その数%のサプリメントが痛みのある関節に留まるかどうかの証拠はないので、まったく意味のないサプリメントであるという話しを専門医から聞いたことがあります。この話しが真実かどうかは判りませんが、サプリメントを飲んだ後の血中濃度を調べたデータがありませんので、信じることはできません。群馬大学教授である高橋久仁氏は彼の著書「フードファデイズムメデイアに惑わされない食生活」(中央法規)の中に、あるサプリメント1粒には何種類もの栄養素を含んでいるので、これを飲めば野菜を摂取する必要がないように理解されるが、実際は、野菜を摂らないと野菜不足になる恐れがあると警告しています。極端な言い方をすれば、トマトを1個かじった量(100グラム)をサプリメントで補給しようとすれば、想像を絶するサプリメントをのまなくてはならない計算になります。従って、サプリメントを飲んで、嬉しそうな表情で効果があったと話している体験談、あるいは、「奇跡的な治療法」とか「ガンからの生還」などのキャッチフレーズを信用しないことです。このように書くと、必ず、「でもね、○○サプリメントを飲んで、膝の痛みがなくなったのよ。これ、どう説明されますか?」という質問が返ってきます。昨日は左膝、今日は右肩というような痛みが移動するものは単なる「老年症候群」に過ぎず、病気ではないために、単なる気持に過ぎません。サプリメントを飲んでいるというこころの安堵感から得られるプラセボ効果です。それは丁度、同じ薬を医師から処方されても、院長先生の処方が若い頼りない医師の処方より効くというプラセボ効果(気休めのために与える薬)に過ぎないという話しと同じです。
あまり、サプリメントに熱中しないでほしいものですネ。



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