Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

乳ガンにならないためには NEW
2010年03月18日

乳ガンにならないためには
              
女性患者が
「先生、お乳に固い、エンドウ豆のようなこりこりしたしこりがあるんです。ガンじゃないでしょうか?」
と不安げに質問されると、その人が肥えておられれば、ガンかもしれないなあ、と予想し、痩せておられれば、ガンじゃないと予想します。勿論、はずれることもありますが、不思議に、この予感は的中します。という事は、肥えなければ乳ガンにならないと言えることになるかもしれません。
では、乳ガンにならないような方法があるのでしょうか?
ありません。しかし、乳ガンになるリスク(危険性)を下げる方法はあります。@体重管理、A飲酒を避け、B運動し、CビタミンDを摂取し,Dホルモン剤を避け、E乳房密度を下げ、F化学予防などすれば乳ガン発症リスクを低下させると言われています(http//cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/7.html)。体重増加は脂肪組織が増えるからですが、この脂肪組織が女性ホルモンであるエストロゲンの産生を高め、エストロゲンが増えれば増えるほど乳ガン発生リスクが高まります。特に、閉経後の体重増加は良いことではありません。日本乳癌学会には肥満と乳ガン発生の因果関係を証明したデータがありませんので、結論は出ていませんが、私の長い臨床経験で両者には密接な関係があるように思います。
アルコールは血中エストロゲン濃度を高めるので良くないとされていますが、少量(1日平均2杯、日本酒であれば1合、ビールならば中ぐらいのグラスや小さめのジョッキー1杯、ワインならばワイングラス1杯)では乳ガンリスクを高めないと「乳ガン診療ガイドライン」に記載されています。この程度のアルコールは楽しさや心地よさといった感情を生み出す「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌を促進しますので、他の側面で有効ですが、過量は絶対さけるべきです。
運動は健康の源です。運動することで体重増加を防ぐことが出来、乳房中エストロゲン濃度が下がると共に「ドーパミン」の分泌を高めます。ただ、少なくとも20分以上行わないと意味がありません。その程度も165から自分の年齢を引いた脈拍数になる程度の運動、例えば、額が汗ばむぐらいが最適とされています。
このように乳ガンだけでも発症リスクを下げるいろいろな方法がありますが、どれも決定的なものではありません。大切なことは体力をつける、即ち、免疫力をつけることです。僧侶であった親鸞、法然、蓮如上人は80歳以上生きておられます。しかも、鎌倉時代のことですから、とてもとても信じられない生命力です。彼らは特に意識したわけではないでしょうが、信心の世界に没頭することで、結果的に暴飲暴食をさけ、心の平穏に努め、規則正しい生活をしたのでしょう。先人達に見習うことが大切かもしれませんね。



[ もどる ] [ HOME ]