Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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その他

それって科学的根拠がありますか NEW
2010年03月31日

それって、科学的な根拠があるのですか?
                

毎日のように一流新聞にはコンドロイチン硫酸の広告が大きく掲載されています。確かに、体内のコンドロイチン硫酸は20歳を境にして次第に減少し、60歳では20歳のときの約4分の1になるといわれています。コンドロイチン硫酸は体内のあらゆる部位に存在し、その減少はいろいろな身体障害を来たす原因になります。しかし、コンドロイチン硫酸は日常の食材の中に含まれていますので、食事が充分摂れないない場合とか、下痢などで摂取が極端に少ない人でない限り、不足することはありません。広告ではコンドロイチン硫酸を服用すれば、今にもコンドロイチン硫酸の不足が補われて、元気になるように書かれていますが、市販のコンドロイチン硫酸を服用して、血中のコンドロイチン硫酸濃度が高まったという科学的証拠は全く示されていません。このような例は過去にはアガリスクがありました。さも、不治の病から救われるとの宣伝で多くの方々が利用されました。しかし、今ではアガリスクの「ア」の字も言われなくなりました。何故なら、科学的根拠がなかったからです。コンドロイチン硫酸も科学的根拠がなければ、いずれアガリスクと同じ運命を辿るでしょう。
そこで、科学的根拠に基づいた生活習慣改善によるガン予防法を紹介しましょう。
第一が喫煙です。タバコを吸っている人は禁煙する。吸わない人は吸っている人から離れる。ヘビースモーカーのご主人の奥さんが肺ガンに罹られるとほとんど質の悪い腺ガンになります。
第二が酒です。酒は気分を盛り上げ、楽しくなり、ストレス解消にはとても役立ちます。でも、二日酔いになるほど飲み過ぎると、通常の3倍もの神経細胞が死滅すると言われているように体には良くありません。せいぜい、ビール大瓶1本ぐらいが適量です。
第三が食事です。生活習慣が我々の健康に大きく影響し、しかもその大半が食事です。ですから、如何に食事が大切かがわかります。特に食塩の取りすぎはよくありません。男性は1日10g,女性は8g以下に抑えるべきです。薄味は食欲を減退させますが、慣れることです。しかし、果物はしっかり食べて欲しいものです。果物であれば1日1皿ぐらいが目安ですが、せめて1日400g摂取したいものです。主食の前にまず野菜を食べることをお勧めします。高コレステロール血症を予防するために動物性蛋白質の取りすぎは絶対にさけるべきです。私も動脈硬化に陥った人の血管の手術を沢山させて貰ったものですが、彼らの血管は黄色の豆腐のカスのようなものが血管の内腔を埋め、血液の流れを完全に止めてしまい、その近くの組織は完全に死滅しています。足であれば、下肢切断、頭に起これば脳梗塞、心臓であれば心筋梗塞となり、致命的となります。
あの人はあんなに元気だったのに、突然、死んでしまい、誠に残念で、惜しいことをしたという話しをよく聞きます。でも、その死は突然ではなく、亡くなるように体がすでに蝕まれていたことを知らないだけなのです。あえて冷たく言えば、日頃往生なのかもしれません。
このように書いてみますと、科学的根拠に基づいたことを実行する事はかなり難しく、根拠のない薬を飲むことは誰もがすぐ出来てとても簡単なことですが、やはり末永く健康で天寿を全うすることは至難の技と言えるのかもしれません。




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