Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

嵐が過ぎ去った穏やかな気分に NEW
2010年04月15日

嵐が過ぎ去った穏やかな気分に
      

前向きな感情が強い人ほど全般に健康状態が良好であると昔から言われていたことですが、幸福感のある人ほど心疾患を発症する可能性が低いことが科学的に証明されたとの研究が報告されました(JCS Newsletter,vol84)。アメリカの医学者であるデビッドソンらは成人1739人を対象に、10年間にわたり、感情と冠動脈疾患(心臓を栄養する血管の病気)発症の危険性の関係を調査し、言動、行動、口調などで前向きな感情を発する人ほど、冠動脈疾患発症率は低かったとの結論を得ています。この事は前向きの人ほど副交感神経優位、すなわち、精神的にリラックスした状態であると言えるかもしれません。
ヒトは生きている限り、外界からさまざまな刺激をうけます。この刺激をバランスよく調節しているのは自律神経であります。自律神経には交感神経と副交感神経があります。このバランスが崩れた場合、自律神経失調症ということになります。例えば、突然、犬に吠えられたとか、自動車を運転中横から子供が飛び出したなどに出会った時、手や額から汗が出て、心臓がドキドキし、のどがからからに渇いてくるのを経験されたことがあるでしょうが、これらはいずれも交感神経が過度に緊張したためであります。この神経が緊張すると生体内のホルモン環境が変わり、副腎からステロイドホルモンが過剰に分泌されます。この状態が続きますと、血糖値をコントロールするインシュリンの作用が抑制されるために血糖値が高くなり、糖尿病となります。
ご承知のように糖尿病そのものはそれほど恐い病気ではありませんが、この合併症が生命を脅かし、生活の質を低下させます。その代表的な病気が腎障碍、白内障、神経障害、動脈硬化による心筋梗塞です。だから、緊張状態が長く続くことは悪く、すなわち、ストレスが体に悪いと言われる最大の理由です。これを予防する最も良い方法は交感神経と逆作用する副交感神経を優位、即ち、精神をリラックスさせることです。この神経は血管を拡張させ、手足を温め、脈を落ち着かせ、精神をリラックスさせます。皆さんが幸せだなーと感じられる時は副交感神経が優位になっている状態です。出来るだけ、ストレスを感じない毎日の生活が送れるよう、物事をプラス志向にとらえたいものです。



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(大学提携のため、ラップランド大学訪問。雪景色、でも、住民は朗らか?)



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