Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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ジェネリックとは NEW
2010年07月31日

           フリッシュ
         (平成22年7月号)
            ジェネリックとは
              
                  山口県立大学学長・理事長
                      江里 健輔


最近、高橋英樹さんがテレビのコマーシャルで盛んに宣伝しているジェネリック医薬品をご存知でしょうか?
多くの人は「理由はわからないが、なんだか、安いらしいよ」という程度ぐらいの知識だと思います。
ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)を開発した製薬会社の特許期間(10年間)が終わったため、他の会社が同じような成分で作り、市販することが出来る薬品、後発医薬品のことです。自己開発ではありませんので、数百〜千億円という高額な開発費がかかりませんので、価格が安くなります。通常、ジェネリック医薬品は新薬の2〜7割の価格にするように、国からも決められています。
それでは、新薬はどのような過程を経て、市販されるようになるのでしょうか?
私も大学勤務中、血管に関する数種類の新薬開発に携わってまいりましたが、残念ながら、市販された薬品は一つもありませんでした。このように、先発医薬品の開発には我々が想像出来ないような経費がかかり、市販するまでにはいろいろなバリアーがあり、極めて困難です。それは当然なことで、一旦、市販されれば、その会社は莫大な利益を得ることが出来、一方では、日本のような皆保険制度下では国が負担する金額も高額になります。それ以上に重要なことは、薬品による副作用が100%出ないという完全保証が求められるので、当局がより慎重になるのは当然です。
例えば、会社が「血管をさらさらにする薬」、抗血小板剤を開発しようと計画した時、その薬品に副作用がないかどうか、効果があるかどうかの動物実験を行います(第1相試験)。それで、効果があるという結果が得られれば、第二相試験を行います。すなわち、この試験を受けるボランテイアを募り、その方々に副作用の有無の試験を行い、副作用がないことが判明すれば、ボランテイアの患者に使用します。ここでは、副作用が出ないかどうか、効果にはどれくらいの量が適切であるかを判定します。ある量で、ある程度の効果が得られることが証明されれば、患者さんと健康人を対象に試験を行います(第三相試験)。患者さんと健康人に試験薬と偽薬(プラセボーといいます)、あるいは既に市販されている同じ効果を持つ薬を使用し、それらの効果を比較します。市販されるには、開発品がその他のものより統計的に有意な効果が認められる必要があります。このような過程を経たのち、当局の審査を受け、ようやく、患者さんの手元に届く事になり、特別な場合をのぞき、通常は数十年を要します。これらのジェネリック医薬品もその効果は先発医薬品と全く違いません。それなのに、日本でのジェネリック医薬品の使用は20%程度だと云われています。その理由の一つは、使いなれた薬の方が安全な気持ちで使えるという医師の保守的な気持ちが左右しているようです。政府は医療費全体を圧縮する目的でジェネリック医薬品の利用を推進していますし、患者さんも担当医に「ジェネリック医薬品を希望します」と伝えると処方して貰えます。
体も自分で守らなくてはなりませんが、医療費自己負担が年々高まる現状では、体を守るにはまず安定した家計が必要条件という泣くに泣けない現実がある限り、薬を処方して貰う時でさえ、医師任せではなく、「ジェネリック医薬品を処方して下さい」という一歩、前に踏み出すことが大切であるということでしょう。




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