Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

こころに残ること NEW
2010年12月14日

       こころに残ること
        山口県立大学学長(理事長)
               江里 健輔

本誌社長であられる窪田耕二氏のご令室さまが逝去されたことはご承知のことと思いますが、ご令室さまの逝去に私は不思議な縁を感じました。
平成22年11月24日、防府日報社は県内の地方紙としては三番目となる1万紙を発行し、その記念式典が行われました。その数日後、ご令室さまが逝去されたという知らせがまいりました。ご令室様のご病気のことは以前から聞き及んでいたので、今日あることは想像していましたが、それにしても、1万紙発行記念式典数日後にお亡くなりになったことはご令室さまがご主人の晴れ姿を見届けて黄泉の国へ立たれたということだと思います。更に考えを深めれば、黄泉の国への旅立ちの日を心の中で決めておられたのではないかと思うとご令室さまのご主人へ敬慕と思慕が察せられます。
しばしば、自分の死は自分だけに告知されると言われています。私ごとで恐縮ですが、私の生母は私が3歳の時、他界しました。生母の面影はまったく私の脳裏にはありませんが、姉たちはしばしば「母親は自分の死を知っていたに違いない」と伝えてくれていました。生母は今でいう産褥熱で亡くなったのですが、黄泉の国へ履いていくつもりであったのであろう白帯のついた草履、子供達へのメッセージがきちんとタンスの中に整理しておいてあったそうです。

現代は経済至上主義で、極端な例では貰う給料で人の値打ちを判断するように、すべてお金でものの価値が決まり、値段がつくとほっと安心する傾向があります。しかし、人間には金で計算出来ない「こころ」があります。上記のような話は形のない「こころ」の問題ですが、なんとなく人間性に根ざしたこころ温まる話と思います。来年こそは「こころ」を大切にする年でありたいものです。



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