Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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その他

上手な受診法
2010年11月25日

      上手な受診方法
       山口県立大学学長(理事長)
              江里 健輔

患者さんは「あの先生はよう検査してくれえ」とか「お願いした薬はすぐ出してくれて」という医者を親切で、すばらしいとお考えのようですが、果たしてそうでしょうか?
確かに、患者さんの注文通りの医療をしてあげることは大切ですが、そのまま鵜呑みに指示するのは好ましい医者ではありません。
これまでは患者さんを時間をかけて丁寧に診察し、その情報から必要と考えられる検査だけを行い、必要に応じて薬を処方していました。それが、触診、視診などの医者特有の医療技術より最新機器を駆使した診療が信用されるようになり、患者さんを診察せずに、いろいろな検査をする場面が多くなりました。その理由には多発する医療訴訟、医学・医療の進歩で、早期診断・早期治療が求められるようになったことなどの背景があります。しかし、一方では、頻回なCT検査とガン発生との間に密な関係があるというデータがあるように、検査はあくまでも最小限に留めた方がよいことはあきらかです。
一方、日本人ほど薬の好きな人種はいないと言われるほど、多くの人が沢山の薬を飲んでいます。1989年Nolanらは、薬の副作用について4種類で50%,  10種類以上で100%の副作用が生じると報告しています。ある患者さんから、肝臓が悪いからと言われ、肝庇護剤を投与され、服用しようと、能書を読んだら、肝障碍をきたすことがあると書かれているのにびっくりし、「肝臓を守る薬なのに、肝臓が悪くなるのなら、この薬は飲まない方がよいの?」
という問い合わせがありました。患者さんにとっては納得できない事でしょうが、能書には多くの薬は肝障碍、腎障害を稀にきたすおそれがあると記載されています。長生きしようと思えば、薬を飲むのを極力抑え、むやみに検査、特に、CT,MRIなどの検査を受けないことです。このように述べると
「先生が、指示されるのでどうしようもないよ」
と言われます。確かにそうですが、
「その検査は何の目的ですか?」とか、「どうして、この薬を飲まなくてはいけないのですか?」
と尋ねてみることです。
良い医療を受けるには、医師の言いなりになるのではなく、納得する医療を受けることです。それは医師と患者さんとの協働の中で培われるものです。




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