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何故干支の最初が子(ね)なのか? |
何故干支の最初が子(ね)なのか? 山口県立大学学長(理事長) 江里 健輔
新年あけましておめでとうございます。
新しい年を迎え、今年こそは、と期待しながら、初日の出に両手を合わせられたと思います。今、日本は「灰色時代」の真っ只中を彷徨っているような気がしますが、いずれ晴れる日が来るであろうという希望もあります。それにしても、安心・安全を守る立場の人達にもの事の手順をしっかりとわきまえている人達が少ないように思えてなりません。 今年は卯年ですが、「(ね)」が干支のトップに位置しているのは「子(ね)」という字に「ふえる」という意味があるから、多産のネズミを当てはめたという説があります。しかし、トップでありながら、あり難くない歴史があります。14世紀、3人に1人が死亡したいう恐るべきペストが欧州で流行しました。原因は開拓のために森林を破壊し、その結果、ネズミの天敵であるオオカミが殺され、ネズミが繁殖したためであるとされています。これは手順を間違えて、人間の幸せだけを追求したために生じた惨事です。某大臣が「私は管内閣のため、国民のために、精一杯努力しています」と居丈高に叫んでいましたが、「国民のために」が先であって、管内閣が先では困るのです。 水たまりだって、歩いて渡れば、足を突っ込むことはないのですが、飛び越そうとするから失敗するのです。順序さえ踏んでおけばおよそ大きな間違いをすることなくやり遂げられます。何ごとにつけ、誰をも満足させるような妙案はありませんが、順序さえ間違っていなければ多くの人達は納得するのです。 この世は不完全な人間の集まりですから、不条理な事が多いのは当然で、それにひとつ一つ悩んでいたのでは、命が保ちません。大切なことは自分のなかに基礎となる生き方、「手順をわきまえ、身分相応に」をしっかりつくりあげていくことだと思います。今年の星、輝きが見えることを期待したいものです。
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