Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

性格が心血管疾患を左右する NEW
2011年01月17日

       性格が心血管疾患を左右する?
             山口県立大学学長(理事長)
                      江里 健輔

真贋の責任はおえませんが、物事を楽観的にとらえる人と悲観的にとらえる人を見分ける方法として、アメリカの有名な脚本家であったバーナードショウの話があります。彼は例えばウイスキーが40%あるウイスキーの瓶を見た時楽観主義者は「まだ、ウイスキーが40%もある」ととらえ、悲観主義者は「もう、40%しかウイスキーが残っていない」ととらえると述べています。このような一つの例でも、とらえ方が180度も違うので、多種多様な意見が出て、この世が複雑になり、ゴタゴタが起こるのは不思議なことではありません。そのような事から「病も気から」と言われだしたのでしょう。
物事を否定的、悲観的にとらえる性格(D型性格、Distressed personality)の人は心血管疾患が再発する頻度が高いと言われています。確かに、ストレスがたび重なると、交感神経が過度に緊張し、血管が収縮し、高血圧となり、そのために動脈硬化が進み、循環器系病気の発生が高まってくることは医学的にも広く認められています。オランダ、テイルビュルフ大學のスペック博士らは性格と心血管疾患再発とは深い関係があるという次ぎのような研究結果を発表しています。D型性格では臨床的うつや不安、メンタルヘルスの悪化といった心理的側面があり、末梢動脈疾患、血管形成術やバイパス術、心不全、心移植、心筋梗塞、心血管死など、心血管の再発危険度がそうでない性格の人の3倍であると(Medical Tribune,2010,12,23より)。この報告のようになるべくD型性格に陥らないようにすることが大切な事ですが、容易なことではありません。
ではどうすればよいのでしょうか?
D型性格の人に一時的なストレスが加わると、副腎皮質ホルモンであるコルチゾルが異常に分泌され、血圧が高くなります。従って、過度なストレスが加わらないように生活スタイルを変えることです。例えば、ジョッキング、水泳、サイクリングのような有酸素運動(自分の呼吸で耐えられる程度の運動で)を週3〜5回、一回に30〜40分以上続けることが効果的とされています。この場合、20分以内では効果ありません。何故ならば、身体の脂肪が燃焼するには最低20分かかりますので、20分以内では体内脂肪が燃焼しないからです。運動後は何かすかっとして気持よくなります。これは娯楽、気晴らし、孤独感の開放、達成感などの心理的効果をもたらすドーパミンや鎮痛作用がモルヒネの約6.5倍あり、精神的ストレス解消役の作用があるβエンドルフインが分泌されるためです。
我々は皆、何時かはこの世と別れなければなりませんが、そうであれば、自ずから進んでD型タイプにならないように努め、少しでも希望がわいてくるような生活をしたいものです。



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