Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

感激した留学生スピーチ NEW
2012年01月20日

       
     感激した留学生のスピーチ
       

平成23年度の自殺者数が3万513人で、平成22年度より1177人減少したが、14年連続3万人を超えたとのことです。減少したことは喜ぶべきですが、相変わらず、3万人以上ということは悲しむべきことでしょう。ただ、東日本大震災で大きな被害があった岩手、宮城、福島の3県は前年より減少しているそうです。ここで思いだすのが、モンゴルのバトムンフ・エルデネサイハンさんのスピーチです。日本国際連合協会山口県本部では、外国人による日本語スピーチコンテストを毎年行っていますが、昨年度は11月に行い、多くの応募者の中でモンゴルから宇部工業専門学校に留学されているバトムンフ・エルデネサイハンが優勝されました。日本語の発音もさることながら、内容が極めてユニークで、感動的で、日本人の弱さを見事に言い表したことが、審査員の心をつかんだようです。その概略を紹介します。
「モンゴルには、『赤ちゃんが出来るのは一本の針の上に一粒の米が当たることと同じ』ということわざがあります。『命の誕生は奇跡のようなもの』という意味です。先進国にはモンゴルでは味えないいろいろなチャンスと生きるために必要なものが沢山あるのに、何故、日本人は自殺するのでしょうか?(中略)モンゴル人には自殺の選択肢はありません。それは、母国は遊牧民族で、生き残るために美しいけれども、厳しい自然と闘わなければならず、生きることの価値を強く感じているからです。」
彼女は「自分で自分の命を絶つことは贅沢ではないでしょうか?モンゴル人には自殺など考えている暇はありません」と主張しているように思えました。
日本の自殺者数は、男性が女性の2倍多く、しかも、企業が決算期を迎える3月がピークですが、昨年は5月にずれ込んでいます。一方、大震災を受けた岩手、宮城、福島3県の自殺者数は減少しています。この二つの事柄は偶然とは思えません。やはり、現代の日本人が経験したことのない未曾有の大惨事が「母国は遊牧民族で、生き残るため厳しい自然と闘ってきて、本当に生きることの価値を強く感じているからです・・・」と言うバトムンフ・エルデネサイハンの言葉のように、この時期に日本人の心に「死んではいけない、頑張らなければ」と意思をもたらしたのではないでしょうか?
「生きる」という何事にも代えがたい緊張感を持ち続けることを教えてくれた貴重なスピーチであったように思えます。



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