Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

膝が痛ければ、動かそう NEW
2012年08月09日

宇部日報(2012,7,20)

     膝が痛ければ、動かそう
     山口県立大学学長(理事長)
江里 健輔

私の知っている老婦人から聞いた話です。
彼女は88歳で、今年9月には米寿を祝ってもらうのよと喜色満面で
「先生ね、私、歩くと、膝が痛くて、痛くて、ほとんど歩けないほどだったんです。お医者さんに行けば、痛み止めとか骨粗鬆症予防薬を出されるでしょう。要らないというのも失礼だから、貰うけど。ほとんど飲まないの。効かないから。無駄でしょう。だから、医者にかからず、自分で治すことにしたの。膝が痛いけれど、我慢し、入浴中に、ゆっくりマーサージしたの。3ヶ月ぐらい続けるうちに、段々軽くなったのよ。どうせ、年寄り病だから、お医者さんに治してと頼む方が無理な話ですね」
と話してくれました。
膝の骨の表面は、厚さ4ミリメートルほどの軟骨で覆われ、骨同士が直接ふれあわないようになっています。しかし、この老婦人のように膝が痛い、腰が痛いなどの症状は老年症候群と言われるように、長く使ったために、関節の軟骨が、すり減って骨と骨が接するようになり、痛みが出たものです。このすり減った軟骨を元に戻すことはできませんから、膝への負担を減らすために、骨を支えている筋力を強化するしか方法ありません。そのためには動かすことが一番良い方法です。
健康運動士の黒田恵美子さんによれば、「膝はつま先と同じ方向に曲げるのが基本。膝だけ別の方向に曲げる癖がついていると、膝の寿命を縮める。膝の周りをさすったりもんだり、ストレッチなどをして伸ばしたりすると、こわばった筋肉が柔らかくなり、足を動かしやすくなる」と述べています(ひざちゃん体操、かんき出版)。勿論、腫れて熱を持てば、運動せずに早めに専門医を受診することは言うまでもありません。
膝は「第二の心臓」と言われています。膝が痛いために、動かさない状態が続けば、筋肉や関節が固まり、膝が伸びなくなって来ます。その為に、自宅に籠もるようになり、そのうち、寝たきり老人となり、要介護人になりかねません。肩、腰、膝など関節の痛みは動かすがことが最善の治療法といえます。



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