Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

世界の年間死亡の一割が運動不足 NEW
2012年08月22日

                防府日報(平成24年8月)
       世界の年間死亡の一割が運動不足
              山口県立大学学長(理事長)
                      江里 健輔

アメリカでベストセラーである「健康加齢、Healthy Aging」の著者であるアンドリュー・ウエイルは運動の中でもっとも良い事は歩くことで、それも一日に45分間、週5回が効果的であると述べている。多くの人が歩くことが良いことを知ってはいるが、それを実行すること、しかも、継続することは大変難しいことである。

米ハーバード大学などのグループにより世界の年間死亡の一割近くが運動不足に関係しているという論文を発表している(Medical Tribune,2012,8,2)。それによると、世界保健機関(WHO)が推奨している{週最低150分の中等度の身体活動、例えば、早足のウオーキング}をしない身体活動不足が死亡にどのような影響を与えているかを検討した。その結果、冠動脈性心疾患、U型糖尿病、乳ガン、大腸ガンに影響し、具体的には2008年の世界人口の死亡5,700万例中530万例以上に相当すると述べている。また、身体活動不足を完全に解消出来なくても10%減らすことで、毎年53万3,000例、25%減らせば毎年130万例以上の死亡が避けられるとのことであった。
しばしば、歩行することを推奨すると
「先生は、歩け、歩けと言われますが、膝が痛くてとても歩けません。どうしたら良いのですか?痛くても動くのですか?」
人生50年時代には「生」と「死」が考えられていたが、人生80年時代になり、新たに「老」と「病」がこれに入り込んできました。それだけに、多くのの人達が「老」と「病」を避け、死の直前まで元気にありたいと思うようになり、その為に運動が興味の対象となったわけです。
もともと、日本人の膝はこんなに長生きし、体が大きくなっても耐えられるように作られていなかった。従って、長く使っているうちに痛みが出てくるのは当然である。専門家に言わせれば、膝の骨の表面は厚さ4ミリメートルほどの軟骨で覆われて、骨同士が直接触れないようになっているが、使ううちに軟骨がすり減って、痛みが出る。薬ですり減った軟骨を元に戻すことは出来ないので、膝の周囲の筋力を強めるしか方法はない。しかし、多くの人達は膝が痛いので、膝をかばい外出を嫌う。膝を使わなければよけい症状が悪化するので、多少痛くても自分に合った方法で膝を使うべきであると言う。例えば、10メートル歩いて、痛ければ、8メートルでよいので、無理をして10メートル歩く必要はない。少しでも歩くことで骨を支える筋力が強化し、次第に、歩行距離も伸びてくる筈である。もし、歩行出来なければ、膝の屈伸運動を朝、晩、一日、2回するだけでも良い。ただ、効果は直ぐには表れないので、途中で止めたくなるが、いずれ、必ず効果が出るという「信念」で、気長に根気よく続けることが重要です。




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