Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

生老病死 NEW
2012年09月19日

防府日報(2012,9,15)
生老病死
山口県立大学学長(理事長)
江里 健輔

平均寿命が延びて、年々長生きをしています。今や5万人以上の方々が100歳以上です。敬老の日を迎えて、首長さんは花束を持って、自宅を訪問され、この人達を祝福している記事を目にします。対象となる人は多くの100歳の中でも、健康な人達で、病床に伏しておられる人、あるいは、認知症の人への訪問が記事になったことはありません。この人達が対象では新聞記事にならないためでしょうが、100歳以上の方々のどれくらいの人達がどのような健康状態なのか知りたいと思うことがあります。
「生老病死」はこの世に生をうけた途端に誰にでも生じる避けることの出来ない大きな問題です。昭和40年ごろは「生老病死」のうち、問題となるのは「生」と「死」で、「老」、「病」はあまり問題ではありませんでした。ガンに罹った人のほとんどは進行ガンで、ガンからの生還は奇跡のような出来事でした。医師が「余命○年」と告げた場合、それが見事に的中していました。病気が判ると、それで苦しむ期間が今のようにあまり長くはありませんでした。
それが今ではどうでしょう。全く様変わりしてきました。「生」と「死」に「病」と「老」が加わってきました。ガンに罹っても、それで亡くなる人は少なくなりました。その結果、寿命がどんどん長くなって、「病」で長く苦しむ人、自己認識も出来ず、ベットにただ横たわって、栄養分は管から注入されている「老」人が増えてきました。
宗教学者の山折哲雄氏(元国際日本文化研究センター所長)は
「人生50年の時代には「生」と「死」が同じ比重の「死生観」を持っていたが、両者の間に「老」と「病」が入り込んできた為に、多くの人々は戸惑いながら手探りの状態である」
と述べている。
今後、ますます医学・医療が進歩するにつれて、長く生きる、生かすことが優先されるでしょう。今こそ、「老」と「病」に対してどのように対処するのか、又は、したいのかを私達はもっとしっかりした「終末期死生観」を持つことが求められているのだと思います。



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