Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

節度ある飲酒とは? NEW
2012年12月05日

防府日報(2012,12,5)

節度ある飲酒とは?
山口県立大学学長・理事長
江里 健輔

古くから「酒は百薬の長」で、「飲む風呂」と言われるように血液循環を良くし、健康増進に役立ちます。ただ、「上手に飲めば」という厳しい条件がつきます。
さて、上手に飲むとは?
ハーバード大学Jennifer K.Pai 准教授らは、初めてかかった心筋梗塞から回復後、飲酒量が120mlグラス2杯(エタノール10.0〜29.9g)の男性では、喫煙、BMI(肥満度),年齢、既往歴など結果に影響を与えるさまざまな因子を考慮にいれても非飲酒男性より全死亡率および心血管死亡率がともに低かったと報告しています(Medial Tribune,2012,9,13)。
一般に適度な飲酒によるいろいろな利点は、大量飲酒による害が強調され過ぎるために完全に消失してしまうことが多く、「飲酒」=健康に良くない、という公式が成り立っているのは残念なことです。このような科学データは「欧州心臓病学会による急性冠症候群の長期管理に関するガイドライン」でも報告されているように、男性ではエタノール量にして1日10〜30g相当の飲酒をやめさせるべきではない、適度な飲酒は心筋梗塞発症後の長期予後を良好にするとしています。
アルコールは、血管に付いている脂を摂る働きがあり、所謂、善玉のHDLコレステロールを増やし、動脈硬化を予防するとされています。また、血液の固まりを溶解させるウロキナーゼという物質を増加させ、血栓(血の塊)をつくる物質(トロンボキサンA)の生成を抑える働きもあることから、血液が固まるのを防止し、体を守ってくれます。それ以外には、ワインに含まれるポリフェノールの動脈硬化予防効果、白ワインの強力な殺菌効果、ビールに含まれる麦芽の美肌効果などなど。その上に小躍りするような効果は嫌なことをパーッと忘れ、明るく楽しくさせるストレス解消です。
これだけの効果をもたらすものはアルコールだけと言っても言い過ぎではないでしょう。しかし、節度ある飲酒が出来る自信のない方々は禁酒した方が健康のために良いかもしれません。
正岡子規は
「悟るとは死ぬことではなく、生きることである」
と。節度して飲むという悟りのない人は飲酒してはいけないということでしょうか?




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