Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

「上手な褒め人間」になろう NEW
2013年01月10日

宇部日報(2013,1,6)  
 
「上手な褒め人間」になろう
      山口県立大学学長(理事長)
             江里 健輔

新しい年を迎え、山口県出身の安部晋三さんが首相になられ、株価も上がり、円安となり、経済も右肩あがりのようで、なんとなく、高揚感があるのは私だけではないでしょう。そこで、「言葉はこころの使い」と言われるように、「上手な褒め人間」が多ければ多いほどこの高揚感がきっと続くに違いない、その思いを夢みてみました。
とは言うものの、褒めることが苦手の人が多い中で「上手な褒め人間」になるのもそれほど簡単な事ではありません。
そのためには、次ぎのようなことを心がけては如何でしょうか?

「規則を曲げて無理な仕事をさせることもあるが、仕事以外でも人の面倒をよくみる」という課長を良い人と答えた人は84%でありました。ところが、前後を入れ替えて「仕事以外でも人の面倒をよくみるが、規則を曲げて無理な仕事をさせることもある」とすると、47%に減ったというデータがあります(朝日新聞、2011,10,28).同じ意味であるにも拘わらず、発言の順序で受け方がこんなにも異なることから、相手に真意を理解させるには最も主張したい言葉が末尾にある方が心に深く伝わり、より効果的であるようです。
次ぎに抽象的は褒め方、例えば、「凄くがんばっている」とか「非常に熱心だ」のような褒め方は一般的な発言として受け取られ、あまり嬉しくないようです。そこで、もっと具体的に褒める、例えば、「いくらけなしても、怒っても、挫けることなく完全にやり遂げるまで頑張っている。このような頑張りは君にしかできないよ」とか「業務に取り組んでいる姿勢が素晴らしい。他の人には真似できないよ」と言うのが褒められた人をはるかに満足させることになります。
更に、間接的に褒めるのも効果的です。
相手の目の前で褒めることは、なんだか相手の気をわざと自分に向けようとしているようで、また、何か魂胆があるのじゃないかと穿(うが)ってみられ、言葉通りに受け止めて貰えないことがあります。その点、間接的に褒めることは相手の姿が見えませんので、相手を意識することなく本音で「褒める」ことができます。ただ、「褒めた」ことが褒めた相手に伝わらないかもしれませんが、伝わった時には、褒められた人の喜びは直接褒められた事より倍加するようです。
しかし、相手を喜ばせたいために、事ある度に頻繁に褒めては、特別という感じがなくなってしまいます。たまに褒めるからこそ価値があるのです。
「悪事千里を行く」という諺があるように、悪い評判はすぐ世間に知れ渡りますが、善い「褒め言葉」は世に知られ難いのです。それだけに、社会が本音の「褒め言葉」で一杯に満たされたならば、幸せな希望ある社会になるでしょう。そうなる年であることを祈っている夢です。




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