Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

親孝行していますか? NEW
2013年01月11日

防府日報(2013,1,11)

親孝行していますか?
山口県立大学学長・理事長
江里 健輔

親父が朝起きると突然
「『かんしゃ』という言葉を知ってるか?」
と、
「あー,知っているよ。駅長さんが住んでいる『官舎』じゃろう」
と答えした。親父は黙って、「なさけないのう」と一言。
また、ある時は
「『慈悲』と『恋』との違いがわかるか」
と。黙っていると
「『慈悲』とは、如何なる状況であろうとも、対象者がどのように変わろうが、絶対に変わらぬ愛を注げることで、『恋』は対象者の状況によって刻々と変化する愛である。だから、恋人同士は場合によっては憎みあったり、別れたするんじゃ」と。
住友生命保険が「あなたにとって一番の親孝行は」というアンケート調査(山口新聞、2012,9,3)によりますと、上位は
@ 心配させない・・・19.6%
A 元気でいる・・・・18.6%
B 会う・・・・・・・13.7%
C 長生きする・・・・12.9%
D 孫とのふれあい・・ 7.0%
であり、「金銭的援助、1.3%」、「贈りもの、0.6%」のような物的支援は下位でした。
親孝行について、論語抄(陳舜臣、中公文庫より)では
「孟武伯問孝。子曰。父母唯其疾之憂」
とあります。これにはいろいろな解釈がなされています。
「親に心配をかけるのは病気だけにしなさい」、病気だけは自分の力ではどうしようもないが、それ以外のことで親に心配をかけないこと
「親はただ子の病気だけが心配」、親が心配するのは子の病気だけだ、身を慎んで、摂生第一に心がけよと。
「子供にとって心配なのは親の健康であると。
いずれの解釈も親が子を思い、子が親を思う気持ちであります。
家族は神仏が与えてくれた最高の贈りものとされています。それなのに、今では家族が孤族となり、モラルも奈落の底に沈み、親が子を、または子が親をたわめることが日常茶飯事の日本です。新しい年を迎える度に、「慈悲」の世界が蘇って欲しいと願うのは私、一人ではないでしょう。





[ もどる ] [ HOME ]