Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
風のとき(宇部日報)

健康を考えた住宅を持とう NEW
2013年03月28日

宇部日報(2013,3,28)

健康を考えた住宅を持とう
山口県立大学学長(理事長)
江里 健輔


病気の発生に影響する要因の50%が生活習慣、20%が遺伝、20%が外部環境、10%が医原性とされています(田辺功、朝日新聞、2002,8,10)。代表的な生活習慣病とされている高血圧、高脂血症、糖尿病はいずれも血管を硬くし,すなわち、動脈硬化症を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。
住宅が健康に影響することが問題になったのはシックスハウス症候群が発生してからです。この原因が揮発性有機化合物(ホルムアルデヒドなど)であることが判り、住宅規制などの対策が講じられるようになりました。最近では、浴室事故、熱中症など家庭内の事故死が増加するにつれて、室内環境,特に、室内温度と居住者の健康との関係が注目されるようになり、研究もされ始めました。
心筋梗塞や脳卒中に代表される循環器疾患は1月、12月頃で、しかも、起床時に多発します。何故なら、血圧は起床時に最も高く、室温は最も低くいから、高血圧を伴いやすくなるからだとされています。この温度変化は使用された建材で異なることも判ってきました。ちなみに、断熱性能を用いた住宅の最低居間室温は無断熱より約5.2℃高いと報告されています。また、起床時最高収縮期血圧は居間室温10度では155mmHg、14度では142mmHgと約10mmHg の差があり、断熱性能が高まれば、収縮期血圧が低下することが証明されています(伊香賀俊治、健康・省エネルギー推進国民会議、2013,3,6より)。このことより循環器疾患を少なくするためには住宅の性能を改善することが極めて有効であることがわかりました。
山口県は秋田県、島根県、高知県に次いで第四番目の高齢化率です。高齢者が余命を健やかに、健康に過ごすためには循環器疾患を少なくする対策が必要です。
ご承知のように、宇部市長久保田后子さんは、環境問題に造詣が深く、住宅の健康に及ぼす影響についても、全国に先駆けて取り組まれ、まさにトップランナー市長です。さる、2月22日、「やまぐち健康・省エネ住宅推進協議会」の主催で健康長寿セミナーが宇部市シルバーセンターで開催されました。医学、歯学、住宅の専門家の講義で、多数の市民の方々が参加され、この領域への関心の深さを改めて思い知らされたところです。
これから住宅を新築される方、リホームをお考えの方々は経済面は勿論ですが、健康寿命を延ばすためにはどうすればよいかを住宅面も考慮され、家を持たれては如何でしょうか?



[ もどる ] [ HOME ]