Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

ガンと闘えー体の中にガン鬼がいる(その3) NEW
2013年07月19日

防府日報(2013,7)

ガンと闘えー体の中にガン鬼がいる(その3)
山口県立大学学長(理事長)
江里 健輔
不安を抱えながら、平成21年2月、定期の人間ドックでPSA検査を受けました。検査を受ける場合はいつもそうですが、どうにかなるだろうと言う「楽観論者」,ガンだったらどうしようという「悲観論者」,この二人が登場します。後者はガンだったら、仕事を休まなければならない、予定されている会議も、頼まれている講演もすべてキャンセルだ、など社会から断絶される健輔の姿が浮かびあがります。さらに、脱毛、嘔気・嘔吐、全身倦怠感などガン治療による副作用に苛まれ、苦しみ、叩き呑まされている他人に見せたくない「健輔」の姿が次から次へと浮かんでは消え、消えては浮かび、鉛のようなどす黒い蓋が明るかった青い空を覆い被さったような暗い気持ちになります。その一方、今、苦しくもない、食欲もある、顔色も良い、全く健康だ、検査など受ける必要もない、止めておこうという現実逃避の「健輔」も登場します。楽観論者の「健輔」は検査を受けても受けなくても罹るものは罹る、一旦、ガンが発生すれば、消えることなく、どんどん成長する、いずれ症状が出てくる、その時は遅い、友人のA君も、先輩のBさんも見つかった時は末期ガンで、治療も出来ず、どうしようもなかったではないか、今なら、まだまだ早期だ、直ぐ死ぬようなこともなかろう、少しでも早い方がいいのだ、なるようにしかならないと半分諦めて、検査を受けることになります。
結果は、前回より2.0 ng/dl高い、8.5ng/dlでした。とうとう、ガン鬼がやってきたな、と妙に確信し、ほっとしました。たまらず、担当医に「早く切って除けてくれ」と。担当医は前回と同じような返事で「学長の場合、炎症があり、年齢も70歳ですよ。はっきりしたガンの証拠もないのにメスを入れる気になれませんよ。それに絶対安全ではないし、それぐらい、沢山手術をされた学長ならわかるでしょう。どうしても、と言われるのであれば、3ヶ月後にもう一度調べてみましょう。それで高くなっていれば、その時、組織検査をし、手術を考えましょう」と。3ヶ月後に再度PSAの検査を受けるということで納得しました。すると、3ヶ月後には、8.2 ng/dlに低下していました。ガンであれば確実に上がり、下がることは絶対ありません。よかったと安堵しました(今、冷静になって考えると、0.2 ng/dl下がったと判断するのは間違いで、誤差範囲で、変わらなかったと判断すべきだったのですが、これが人間の弱さでしょうか?)。担当医もまあ、いいでしょう、という結論でした。そのうち、年が明けて平成22年になりました。定期人間ドックは2月ですが、卒業式が3月、入学式が4月上旬に予定されています。今、検査し、ガンが見つかると、大学行事をすべてキャンセル、学長としの任務を果たすことが出来ない、そう考えると恐ろしくなり、これらの行事が終わった後に検査を受けることにしました。その結果は?次号へ。(この原稿はフリッシュ、No33,34に掲載されたものを一部改変しています)



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