Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

喫煙者の雇用で増える企業負担 NEW
2013年08月22日

  喫煙者の雇用で増える企業負担
      山口県立大学学長・理事長
             江里 健輔

「俺は他の人より多くの税金を払っている」と豪語する愛煙家がいます。確かにそれは事実です。
しかし、喫煙家が大きな社会的および経済的負担を国にかけていることはご存じでしょうか?
医療経済研究機構の「喫煙による経済的損失の推計結果」によりますと、経済利益は約3兆2千億円、損失は7兆3千億円(喫煙者の医療費12,900億円、間接喫煙者の医療費146億円、逸失される労働力の損失58,000億円、火災による損失2,200億円)で、4兆1449億円の損失と計算されています(http://kokueki.sakura.ne.jp/banner/kinnen/lost.htmより)。
どう見ても、喫煙者の旗色は悪いですが、米国には、喫煙者を雇用しないという方針を定めている企業もあると聞き及んでいます。オハイオ州立大学公衆衛生学部のベルマン氏は「喫煙者を雇用すると、非喫煙者を雇用した場合と比べ、企業には、年間6,000ドル(6,000,00円)の追加費用が発生する」とTobacco Control(2013;オンライン版)に発表しています(メデイカル・トリビューン、2013,8,1より引用)。これまでも、喫煙による仕事の中断による生産性の低下や医療費負担増は一般常識として認識されていましたが、その損失額は具体的に提示されていませんでした。彼は@喫煙者の欠勤による生産性の低下、517ドル/年/人Aニコチン中毒による生産性の低下、462ドル/年/人Bタバコ休憩による生産性の低下、3,077ドル/年/人C医療費増加分、2,056ドル/年/人という追加費用がかかり、一方、D退職後の年金支払いでは喫煙者は非喫煙者に比べ早死リスクが高いので、喫煙者の方が退職後の年金費用は296ドル/年/人ほど少なかったと嬉しいような悲しいような数字でした。
喫煙がもたらす損失は単なる金銭的な問題だけではなく、喫煙により早く命を失ったり、呼吸障害などの苦しみが非喫煙者より大きく、これには値段がつけられないので、喫煙による被害は無限であると強調してもしすぎることはありません。日本でも、当然なことですが、職場敷地内では禁煙という会社が増え、敷地外でこっそりと喫煙する姿が見られ、見るに見かねて「喫煙者が可哀想。敷地内の特定な場所に喫煙場を設けては」という後ろ向きの意見もありますが、非常識な発想です。
喫煙者は自己管理も出来ない人物で、その上、社会に多大な迷惑をかけているということも自覚すべきです。



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