Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

ガンと闘えー体の中にガン鬼がいる(その4) NEW
2013年08月14日

ガンと闘えー体の中にガン鬼がいる(その4)
山口県立大学学長(理事長)
江里 健輔
定期検査の結果、前回8.2ng/dlであったPSA値が10.3ng/dlと高くなっていました。担当医は
「どうも怪しいですね。10ng/dl以上になりますと、ガンを考えなくちゃなりませんから・・・、しかし、学長の場合、炎症がありますので、これくらい上がっても不思議じゃありませんから。まあ、念のため、抗生物質を2週間飲んでもらい、その後、もう一度、PSAの検査をしてみましょう」
と。
そう言えば、私の友人もPSA値が15.2ng/dlだったので慌てて組織検査を受けたところ、前立腺肥大だった、ほっとしたよと話していたなあ、そう考えるとあんまり深刻に考えることじゃないな、と自分の都合の良い方に勝手に思い込んでしまいした。予定通り2週間後、検査を受けました。結果は12.4ng/dlと下がるどころか高くなっていました。
さすがに担当医も
「上がりが急峻なので、前立腺ガンの可能性がありますね。すぐ、組織検査をしましょう」
と。これまでと違い、検査に前向きな発言でした。多分、担当医も長い経験で「ガンだな」と閃くものがあったのでしょう。通常、医師はいろいろな検査所見をもとに、診断しますが、経験を積み重ねた医師は、そのおりおりに言葉にならない何かを感じるものです。担当医はまさにそれを感じたのでしょう。担当医の表情を見て、『彼はガンだと確信しているな』と思いました。担当医は早く検査をしましょうと手帳をめくりながら、1週間後はどうでしょうか?と。私は組織検査を受けると決めたからには早い方がよい、この不安を抱えながら時を過ごすのは厭だ、明日出来ないだろうかとお願いしました。担当医はとても医者で、それも長年、外科をしていた人の発言ではない、信じられないという顔つきで、
「申しわけありませんが、日程が混んでいますので」
とやんわりと断られました。事情をよく知っている私もそれ以上、お願いすることも出来ず、了解し、平成22年、6月23日、入院検査となりました。この1週間は悲観論者が大手を振って、体の中を駆けめぐりました。医学知識があるだけに、ガンと診断された時、これから先、起こりうることが判るだけに、医学知識のない患者さんより始末の悪いものです。しばしば、医師がガンに罹ると、末期で見つかる場合が多いとか、医師の不養生とか言われていますが、ガンの怖さを人一倍知っているだけに、検査を受けるのを躊躇するものです。なんとも情けない話です。この1週間は例えないような長さでありました。
組織検査結果は次号へ・・・



[ もどる ] [ HOME ]