Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

ガンと闘えー体の中にガン鬼がいる(その6) NEW
2013年10月17日

防府日報(2013,10,17)     

ガンと闘えー体の中にガン鬼がいる(その6)
山口県立大学学長(理事長)
江里 健輔

生体検査を受け、結果が判り次第、報告してやるということであったので、じっと待っていましたが、報告がないので、いらいらして電話で催促しました。
友人で、大学の後輩の病理診断医は
「担当医から連絡ありませんでしたか?結果は直ぐ担当医に連絡しましたので、聞いてみて下さい」
となんだか奥歯に物を挟んだような頼りなさそうな、不安な声でした。
「じゃ、この電話を泌尿器科の担当医に回してくれますか」
とお願いしながら、ガンでなければ「先生、心配無用です」と云うはずだが、云わないのは、悪い知らせは出来るだけ避けたいという温かい気持ちだなと思い、この時、初めて、ガンだと確信しました。
外来の看護師さんが電話口で
「今、先生は診察中で手が外せないので、診察が終わり次第電話すると云われています。すみませんが、もう少し、待っていただけますか」
その声を聞き、待ちきれず、仕事もそこそこに病院にいきました。幸い、担当医は外来診察が終わったばかりで
「10切片のうち一つの切片だけにガン細胞が見つかりました。やはり、ガンでした。どうされますか?」
前立腺ガンの治療法には@内分泌療法、A手術療法、B放射線療法などがあり、それぞれ一長一短があります。主な治療は手術ですが、病気の進行度により、手術以外の治療が優れている場合もあります。当然のことながら、手術はいろいろな合併症を伴います。中でも、大きな問題は男性機能が失われ、QOL(生活の質)が極めて低下することです。最近は、このような機能不全を防ぐために内視鏡下手術が行われることが多くなりました。放射線療法も照射障害を防ぐために小線源療法などが用いられ、患者に優しい治療となっています。一方、一回の治療で済む重粒子線治療が日本でも盛んに行われるようになりました。
私のガン進行度は、他の場所に転移もない、早期ですので、全ての治療が適応になります。私の性格は「白か黒、灰色はない」というタイプで、ガン細胞が体の中で泳いでいる姿に耐えられない気持ちでした。その上、長い間、前立腺炎がありましたので、手術以外の治療を受ける気持ちは最初から頭にありませんでした。




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