Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

今年こそ仕事を、と思うあなたへ NEW
2014年01月24日

宇部日報(2014,01,11)    

今年こそ仕事を、と思うあなたへ
       山口県立大学学長・理事長
              江里 健輔

「仕事というものは騎手と馬の関係だ、と竜馬は、ときに物悲しくそう思う。『中略』。桂や広沢における長州藩、西郷や大久保における薩摩藩は、いずれも千里の良馬である。」(司馬遼太郎:竜馬がゆく)。
昨年もまだまだ活躍して貰わなければならない多くの人がこの世を去られ、今年も、新年早々、仕事半ばで政治という舞台から幕引きをされなければならない人に遭遇する時、本人は勿論のこと、我が身に重ね合わせるとき、誠に遺憾に堪えない思いです。特に幕引きの理由が体調不良となると、大きな財産をなくしたような気持ちになります。
病気の中でも、ガンは恐ろしい病気とされていますが、それは、昭和40年代の話です。その時代には、早期胃ガンで発見される患者は極めて少なく、多くは進行ガンでしたので、例え根治手術が出来ても、5年生存率は20〜30%前後と悲惨な情況でありました。現在は、早期ガンで治療すれば5年生存率は90%以上という驚くべき結果です。山口県内の総合病院にはガンの死亡率を下げる人間ドックがありますが、自覚症状が現れて受診され、進行ガンと診断される人が相変わらず多いことは誠に嘆かわしいことです。
ガン検診を受けない主な理由は@受ける時間がない,Aガンだと分かるのが怖い、B経済的負担,C健康に自信であるという報告があります(日経新聞、2013,3,17).受ける時間がない、というのは、最初から受ける気持ちがないだけで、受けない理由にはなりません。これらの理由のうち、残念なことはガンだと分かるのが怖い、ということです。先述のように、ガンは怖い病気ではありますが、早期ガンであれば、「怖れるに足らず」です。理由が何であろうとガン検診を受けるべきです。ただ、検診効果が100%でない事も承知しておく必要があります。厚労省「第1回ガン検診のあり方に関する検討会資料(1010,5,28)」によれば、ガン検診の死亡率減少効果は子宮ガンの細胞診78%, 大腸ガンの便潜血反応60%とかなりの効果が見られますが、レントゲンと喀痰細胞診を合わせた肺ガン検査では28%、喀痰細胞診だけでは4%と極めて低いのが実情です。このような結果より、喀痰検査を中止し、代わりに、CT検査を導入しようとする動きもあります。従って、効果を高めるには定期的検診と医療の質の高い人間ドックを受けることです。
いずれにせよ、ガンで死なないためには、早期発見・早期治療です。自分の体は自分でしかわかりませんので、自分で守るべきです。
仕事と健康は冒頭の竜馬の言葉を借りれば、騎手と馬との関係です。健康であってこそ、立派な仕事,後生に残す仕事が出来ます。自家用車は、2年毎にチェックをするのですから、
今年こそ、貴方の大切な時間を貴方の体のチェックに費やされては如何ですか?
仕事の段取りをする前に、まずは、人間ドックの段取りをして下さい。




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