Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

ガンと闘えー化学療法 NEW
2014年10月25日

 防府日報(2014,10,25)  
       ガンと闘えー化学療法(18)
               山口県立大学理事長
                       江里 健輔
 
メールで前立腺ガンの治療について相談を受けました。それによると、手術でガンは摘除されたが、局所リンパ節をはじめ、前立腺の外にガンが残っている可能性があるので、薬を飲む必要があると云われたのですが、手術前にはそのようなことは云われなかったので、びっくりしていると云うことでした。どうして、手術前に判らなかったのでしょうか?また、薬を飲めと云われましたが、どんな薬を何時まで飲むのでしょうか?でした。
そうです。手術でガンが完全に摘除出来ない場合、あるいは残っている可能性がある場合には再発のことを考えて、薬を飲むのはやむを得ません。
ガンの治療法には局所療法と全身療法(薬物療法)があります(表)。手術は局所療法で、ガンが完全に摘除されると考えられる時のみ対象となります。この場合、全身療法は必要ありません。しかし、術前の予想に反して、ガンがどのような形であれ、体の中に残っている可能性がある場合には、全身療法を受けなければなりません。前立腺ガンはホルモン依存性ですので、男性ホルモンの分泌や働きを抑える(内分泌療法)ことによって、前立腺ガン細胞の増殖を抑えることは可能です。これには@精巣あるいは副腎からの男性ホルモンの分泌を抑える方法(性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストおよびアンタゴニスト、女性ホルモン)、A前立腺細胞内において、男性ホルモンの作用発現を抑える方法(抗男性ホルモン)があります。副作用としては、むくみや女性化乳房、肝機能障害などが現れることがあります。また、女性ホルモンは血栓(血液の塊)を作りやすくする作用があるため、心血管系、特に、下肢に血栓性静脈炎を発生することがあります。
内分泌療法は80%以上の患者さんに自覚的にも他覚的にも有効とされています。問題は一部の前立腺ガンには効果を示さず、また、最初は有効であったホルモン療法が数年で効かなくなる場合があることです(ホルモン抵抗性前立腺ガン)。こうなると、大変厄介になります。このことは次回に述べますが、術後には再発防止のため、いろいろな治療法がありますが、これらを受けなくても良い時期、即ち、早期にガンを発見し、治療を受けたいものです。
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