Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
風のとき(宇部日報)

正しい選択を NEW
2015年01月01日

宇部日報(2015,01,01)

今、必要なものは正しい選択
山口県立大学理事長
江里 健輔

選択権のないことが身体的、心理的な悪影響としてしばしば例えられることに動物園で飼育されている動物があります。客観的に見て、生活環境が良いにも拘わらず、動物園の動物の寿命は野生動物より短命であります。例えば、野生のアフリカ象の平均寿命は56才だか、動物園で生まれた象は17才です。この理由は飼育されている動物には選択権がない、すなわち、生きるために必要な本能が奪い取られているためとされています(シーな・アイエンガー:選択の科学、櫻井祐子訳)。
何もしなくても、食物を与えられ、冷暖房完備の環境にいるのの、どうして脱出を試みるのだろうかと疑問に思いますが、選択したいと言う本能を奪われた動物は本来の生存本能とは相容れないものなのです。そのために、生存本能を求めて自由な世界に羽ばたこうともがくことになります。
我々の周囲にはあふれる情報があり、それが毎日、怒濤の如く我々に押し迫ってきます。になります。これらの情報の選択を間違えると国を始め組織は予期に反した方向を走ることになります。ギルシャの滅亡をはじめ、ローマ帝国、植民地政策を掲げた欧米諸国の没落はいずれも野放図な「自由」の主張にあるとされています。曾てない日本の現状を振り返ると、欲望の肥大化に基づく気ままな自由権の主張です。自由とは選択する権利、つまり、自己の存在感を示す権利です。正しい、適切な選択をすることが真の自由を享受することになります。
今こそ、将来を俯瞰し、日本の将来を担う子供たちが幸せになるような「選択」をしたいものです。



[ もどる ] [ HOME ]