Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

体と國を守る仕組みは良く似ている NEW
2015年02月23日

防府日報(2015,02,23)  
 ガンと闘えー体力をつけよう(21)
体と國を守る仕組みは良く似ている(21-2)
      山口県立大学理事長
              江里 健輔

今、日本は「集団的自衛権」で丁々発止の議論がなされています。自国は自分で守らないと誰も守ってはくれない、その時は武器を持って闘うべきだ、という意見あれば、戦争はよくないことです。どこまでも話し合いで、という意見など、様々です。誰しも武器を持ちたくないが、相手が武器を持って押し入ってくれば、こちらも武器を持つことは仕方がないことかもしれません。このような議論を人間の体に当てはめてみましょう。
自国が武器で襲われたら、話し合いなど、ゆっくりしてはおれません。即座に対応しなければ、破滅するだけで、こちらも武器を持って闘わねばなりません。この場合、通常は総理大臣の指示のもと、防衛大臣、自衛隊と指示が下部組織に伝達され、現場の隊員が兵器を持って闘います。このような指揮系統がしっかりと伝わるかどうかが勝負の分かれ目となります。この指揮系統は人間の体にも通じます。
人間の場合、総理大臣に相当するのがヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞はリンパ球の一つです(人の血液には、赤血球と白血球とがあり、白血球はさらに顆粒球、リンパ球、単球(マクロファージ)の三つから構成されている。リンパ球はT―細胞、B―細胞、NK―細胞に分類されます)。
ここで、バイ菌が体に入って来た場合を考えてみましょう。
まず、アメーバーのような格好をしたマクロファージが、バイ菌が侵入した場所に集められ、バイ菌を食い殺します。多くの場合、これで解決しますが、バイ菌の力が強すぎると、自分たちでは全てを食い殺すことが出来ない、局所を守ることが出来ないため、指令官に応援を頼みます。この指令官はバイ菌がどんな特徴を持っているかしっかり見定めて、そのバイ菌を殺すことが出来る能力を持った兵隊を現場に送ります。指令官が送る兵隊には二つあります。その一つがNK―細胞です。この細胞は、バイ菌にくっついて殺します。一つひとつは強いですが、飛び道具を持っておらず、くっついて初めて効力が発揮される兵隊です。丁度、特攻隊のように、敵に体当たりして攻撃するので、刀と槍で闘っているようなものです。当然、バイ菌を殺すには限度があります。そこで、原子爆弾や水素爆弾のような強力な武器が欲しいものです。
それはB―細胞です。
人間の体はうまく神様が作ってくれています。
この細胞については次号へ。




[ もどる ] [ HOME ]